2004 Fiscal Year Annual Research Report
太陽フレア・コロナ質量放出の3次元磁気流体モデリング
Project/Area Number |
02J01862
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯部 洋明 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 太陽フレア / コロナ質量放出 / 磁気流体力学 / 磁気リコネクション / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は3次元磁気流体シミュレーションにより太陽フレア、コロナ質量放出のメカニズムを明らかにすることである。近年の観測的、理論的研究から、フレアやコロナ質量放出に至るコロナのエネルギー蓄積と、突発的なエネルギー解放をもたらすトリガーには、太陽内部からの磁場の浮上(浮上磁場と呼ばれる)が重要な役割を果たしていることが示唆されている。このため本研究では、浮上磁場領域の大規模シミュレーションを行い、特に浮上磁場と既存のコロナ磁場の相互作用によるフレア、ジェットの発生とコロナの加熱について詳しく調べた。数値シミュレーションには、国立天文台の大型計算機の他、世界でトップクラスの性能をもつ日本のスーパーコンピュータ、地球シミュレータを用いて、これまでにない高解像度のシミュレーションを行った。シミュレーションの結果、浮上磁場中で磁気レイリーテイラー不安定が発達し、磁場に沿ったフィラメント構造が自発的に形成されることが分かった。これは、浮上磁場領域で観測されているアーチフィラメントと呼ばれる筋状構造に対応していると考えられる。また磁気レイリーテイラー不安定性によるフィラメント形成に伴い、浮上磁場中に細かい電流シートが数多く形成されることが示された。この電流シートが散逸してコロナを加熱すれば、極紫外線等で観測されているコロナ加熱の非一様な様子を自然に説明できる。また、浮上磁場と既存のコロナ磁場との磁気リコネクションによりフレアが発生するが、浮上磁場が磁気レイリーテイラー不安定で変形をうけているのに伴い、コロナ磁場との磁気リコネクションも非一様なパッチ状に発生することが分かった。これはフレア中の微細構造の起源を自然に説明する。以上のように、浮上磁場とフレアの構造形成を説明する新しい理論を提唱することができた。これらの成果は英国科学誌ネイチャーに発表されている。
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