2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノスペクトル解析によるニュートリノ振動の精密測定
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02J01869
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前坂 比呂和 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ振動 / ニュートリノ質量 / スーパーカミオカンデ / 押し出しシンチレータ / 波長変換ファイバー / マルチアノード光電子増倍管 |
Research Abstract |
今年度は、つくば神岡間ニュートリノ振動実験において感度を高めるためにこれまで開発してきたSciBar検出器を建設し、ニュートリノデータ収集を行った。SciBar検出器は細長い(1.3x2.5x300cm^3)シンチレータを縦横に多数並べ、ニュートリノ反応で生じる粒子の飛跡を効率よく捕らえる検出器で、本実験のつくば側の新しい前置検出器である。 本実験は前年度から引き続き6月までデータをとり、その間、データ収集を行いながら、SciBar検出器の建設準備を行った。そして、夏季シャットダウン中の7月から9月まで建設をし、10月から新検出器とともにニュートリノデータ収集を行った。3ヶ月間という短い建設期間ながら、検出器は10月のビームタイム開始時には安定して動かすことができた。データ収集には大きなトラブルはなく、2月のビームタイム終了まで安定に収集した。収集されたデータは開発時に予想された性能がそのまま再現されていることを確認し、数多くの興味深いニュートリノ反応を捕らえることができた。 11月には高エネルギー加速器研究機構で行われた「結晶などのシンチレータに関する国際会議」で本検出器の開発、建設、および、基礎性能について口頭発表を行った。 また、3月にはイタリア、グランサッソ研究所で行われた「数ギガ電子ボルト領域でのニュートリノ原子核相互作用に関する国際会議」で本検出器の最初の物理結果について口頭発表を行った。さらに3月末には日本物理学会にて同様の内容の口頭発表を行う予定である。 このように、本実験に新しい検出器を予定通りに建設し、期待された性能を発揮することができた。そして、得られた結果をさまざまな場で発表し、数多くの反響を得ることができた。 ほかに、本実験の昨年度までのデータを用いてミュオンニュートリノが電子ニュートリノに振動するモードに制限を与えるなど、いくつかの物理結果を発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K2K Collaboration (M.H.Ahn et al.): "Indications Of Neutrino Oscillation In A 250 Km Long Baseline Experiment"Physical Review Letters. 90. 041801 (2003)
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[Publications] Super-Kamiokande Collaboration (D.W.Liu et al.): "The Super-Kamiokande Detector"Nuclear Instruments and Methods. A501. 418-462 (2003)