2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノスペクトル解析によるニュートリノ振動の精密測定
Project/Area Number |
02J01869
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前坂 比呂和 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ振動 / ニュートリノ質量 / スーパーカミオカンデ / 押し出し型シンチレータ / 波長変換ファイバー / マルチアノード光電子増倍管 / 素粒子物理学 / 高エネルギー物理学 |
Research Abstract |
つくば神岡間長基線ニュートリノ振動実験(K2K)において、昨年度までに収集されたデータを解析し、ニュートリノ振動パラメータを導き出した。まず、本研究課題の主目的として建設したSciBar検出器のデータなどを使って生成直後のニュートリノのエネルギースペクトルやフラックスを測定した。一部のニュートリノ反応においてシミュレーションと合致しないデータもあったが、SciBar検出器のデータをつかってその原因を絞り込み、シミュレーションの補正をいった。得られたニュートリノのエネルギースペクトルやフラックスを250km離れたスーパーカミオカンデで観測されたデータと比較した。ニュートリノ振動がない場合151事象が観測されることが予想されたが、107事象しか観測されなかった。また、エネルギースペクトルの比較では、振動がない場合よりもある場合の方が99%以上の確率でもっともらしいことがわかった。両方を合わせるとニュートリノ振動がないという仮説は99.995%の確率で棄却された。これは4σの統計的信頼度に相当する。また、ニュートリノ振動パラメータである、混合角sin^22θは約1.0、質量の二乗差Δm^2は約2.8×10^<-3>eV^2/c^4であることがわかった。sin^22θ=1.0と仮定したとき、信頼度90%でのΔm^2の範囲は1.8×10^<-3>〜3.6×10^<-3>eV^2/c^4となった。この結果は、スーパーカミオカンデの大気ニュートリノ観測の結果と非常に良く合っている。このように、性質の良くわかっている人工のニュートリノでもニュートリノ振動を観測することに成功し、ニュートリノ振動現象の存在を確定的なものとした。
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Research Products
(6 results)