2003 Fiscal Year Annual Research Report
唐代仏教石窟の研究―その様式と窟内の全体構想そして情報伝達経路の問題を中心に
Project/Area Number |
02J01871
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西林 孝浩 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員DC1
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Keywords | 仏教石窟 / 仏教美術 / 情報伝達 |
Research Abstract |
平成15年度は、中国社会科学院考古研究所(北京)を受入機関として、仏教石窟のフィールドワークを行った。当初は、4月〜9月の約半年間を滞在予定としていたが、SARSの影響により、5月〜7月に一時帰国を余儀なくされたため、その期間に予定していた石窟調査を、8月および9月に変更せざるを得なかった。結果として、極めて遺憾ながら、研究成果の活字化が次年度にずれ込むこととなった。しかしながら、その成果の一部は、平成16年3月に開催された美術史学会例会において、「敦煌莫高窟第321窟『宝雨経変』についての再検討--その主題と唐代美術における位置づけをめぐって--」と題した研究発表で既に公にしており、これについては、目下、雑誌論文への投稿を準備しているところである。 中国滞在中に行った調査先は、雲崗石窟・天龍山石窟・龍山石窟・童子寺大仏(以上、山西省)、龍門石窟・鞏県石窟(以上、河南省)、薬王山石窟(陝西省)、綿陽碧水寺・梓潼臥龍山石窟・広元皇澤寺石窟・広元千仏崖石窟・広元観音崖石窟(以上、四川省)、敦煌莫高窟(甘肅省)などである。なお、各地で収集した資料および撮影写真の整理は、年度末までに完了している。計画当初に予定していた、山西省・四川省方面の調査も、今回、実施出来たため、これらの両地域の造形比較や、中央からの情報伝播の状況が、より具体的に理解しうるための足がかりを得ることが出来た。これら収集したデータをもとに、次年度に論文を数本、公にする予定である。
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