2003 Fiscal Year Annual Research Report
資源開発をめぐる民族と国家の動態:エチオピア西部でのコーヒー栽培の拡大過程から
Project/Area Number |
02J01899
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 圭一郎 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | エチオピア / コーヒー / 資源 / 民族間関係 / 国家政策 / 商品作物 / 開発 / 土地所有 |
Research Abstract |
本研究の目的は、エチオピア西部のコーヒー栽培地帯をおもな調査地として、農業資源開発の浸透にともなう民族と国家との動態的関係を明らかにすることである。 二年目にあたる平成15年度は、コーヒー栽培地帯のコンバ村における現地調査を行うとともに、関連する国内学会(日本ナイル・エチオピア学会、日本民族学会、日本アフリカ学会、生態人類学会)と国際学会(国際エチオピア学会)において、研究成果の発表を行った。 2ヶ月あまりの現地調査のなかで入手できた主要なデータは、以下の4点である。(1)コーヒー林の樹木・有用植物に関する植生調査、(2)コーヒー栽培農家の家計調査、(3)農民世帯の贈与・分配に関する調査、(4)コーヒー栽培農家のコーヒー生産量と売却量(額)の調査。 現地調査のデータから明らかになったことは次のとおりである。 (1)人びとが多様な樹木特性を理解したうえでコーヒー林の植林と維持を行ってきた。 (2)乾季にコーヒー栽培に依存する一方で、雨季には多年生キャベツやタロイモなどを売却して現金を獲得しており、現金収入の不足する雨季に村の市場が拡大している。 (3)端境期となる雨季に贈与・分配がより頻繁に多くの相手になされる。 (4)乾季に採取されたコーヒーのうち、かなりの量が乾燥・貯蔵されて雨季に売却される。 こうしたコーヒー栽培農家の環境認識と経済行動を分析することで、政権交代にともなう市場経済の導入と国際価格の下落といったナショナル/グローバルなレベルでの変化が、農民の環境利用や家計戦略にどのような影響を及ぼすようになってきているのかが、明らかになった。また、各学会における研究発表とその後の討論によって、コーヒー栽培の拡大にともなう貨幣経済の浸透と多様な民族の流入といったあらたな状況についての研究の重要性を確認することができた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 松村 圭一郎: "From "Commons" to "Property relations" : Distribution of Resources in the Yaeyama Islands and Southwestern Ethiopia."同志社大学ワールドワイドビジネスレビュー. 5・1. 167-173 (2003)
-
[Publications] Keiichiro Matsumura: "Changes beyond the State Institution : Socialist Policies and Land Tenure in a Coffee -Growing Village, Southwestern Ethiopia"Nilo-Ethiopian Studies. 8/9. 13-34 (2003)