2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01926
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 穣 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子液体 / ヘリウム3 / 超流動 / 量子渦 |
Research Abstract |
直径100μmと200μmの円筒容器中での超流動ヘリウム3A相の状態を東京大学物性研究所久保田研究室の回転核断熱消磁冷凍機を用い核磁気共鳴法で調べた。100μmの容器中では冷やし方等により三種類の秩序構造が円筒容器内に生まれることが観測され、そのうち最も安定な状態の秩序状態が回転に対して非対称性を示すことがわかった。これは当初の目的であった自発的軌道角運動量の存在を示唆するものであるとあると考えられる。また、単純と思われていた円筒容器内の秩序構造に、実は多様性があることがわかった。200μmの容器中では単一の量子渦の生成、消滅の観測に成功した。また、その生成臨界速度が回転方向に対して対称になる場合とそうでない場合があり、超流体を作るときの磁場と回転が平行か反平行かでそれが決まることがわかった。磁場と回転が平行か反平行かで異なるような相互作用は知られておらず、今後の埋論的進展が望まれる。 このように細い円筒という境界条件の下での超流動ヘリウム3A相の状態とその回転に対する応答について新たな知見を得ることができた 引き続いて空孔率98%のエアロジェルという紐状の物質が空問的にランダムに張り巡らされている物質中での超流動ヘリウム3の研究を始めた。この紐の径はヘリウム3の秩序変数の特徴的長さより十分短いため、それを不純物として内包したまま凝縮状態へと変化する。その結果秩序の抑制された超流休が生成されるが、その中でも回転により渦が入ることを世界で初めて確認し、その渦はエアロジェルがないときに比べて強くピン止めされていることがわかった。 以上の実験を平行して並行平板容器の作成に向けて試験容器の作成を行い、その製作ノウハウの修得と、試験容器の平行度の均一性について良好な結果を得た。
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Research Products
(1 results)