2003 Fiscal Year Annual Research Report
殻型超新星残骸の硬X線観測による銀河系内宇宙線の研究
Project/Area Number |
02J01927
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植野 優 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / 超新星残骸 / 宇宙線加速 / X線偏光 / ガス検出器 |
Research Abstract |
我々は引続きASCA衛星の銀河面サーベイから見つかった非熱的超新星残骸候補のX線追観測を行っている。本年度は、G32.45+0.1とG38.55+0.0を空間分解能の優れたXMM衛星で観測を行い、前者は真に広がっていることを確認し、後者は点源のみを検出した。G32.45+0.1は明るさもスペクトルも典型的な非熱的殻型超新星残骸SN1006に非常に良く似た天体であり、シンクロトロン過程によってX線放射をしていると考えられる。これは、非熱的X線が卓越する殻型超新星残骸としては5番目の発見となる。これらの結果はThe Astrophysical Journalに投稿準備中である。G32.45+0.1の結果はこのような非熱的超新星残骸が銀河面に数多く存在し、X線観測が発見する最も有効な手段であることを示しているので、今後もこのような手法の研究を続けていく予定である。 さらに、我々は、非熱的殻型超新星残骸のサンプルを用いて系統的な研究を行っている。超新星残骸からのX線の性質と電波の表面輝度を比較した結果、非熱的X線の卓越した超新星残骸は電波の表面輝度が暗いことを発見した。一般的に電波の表面輝度が明るい天体は、超新星残骸の周囲の密度が高いことが知られているので、非熱的X線の卓越した超新星残骸は密度が低いところに存在していることを示唆している。 私は次期検出器の開発を同時に行なっている。高い位置分解能のガス検出器μ-PICの安定性および感度の向上に成功しており、国際学会での成果発表を行った。さらにX線偏光測定能力を高めるため、本年度は読み出し回路の完全ピクセル化の開発を行なった。実験データは来年度得られる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ueno, M.et al.: "Chandra Observations of a Nonthermal Supernova Remnant Candidate AX J1843.8-0352 and its Surroundings"The Astrophysical Journal. 588. 338-343 (2003)
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[Publications] Ueno, M.et al.: "Discovery of a Peculiar Pulsar in the Small Magellanic Cloud"Publication of the Astronomical Society of Japan. 56. 175-179 (2004)
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[Publications] Ueno, M.et al.: "Application of micro-pixel chambers for X-ray polarimetry"Nuclear Instrument and Methods in Physics Research, A. (accepted). (2004)
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[Publications] Bamba, A., Ueno, M.et al.: "Diffuse Hard X-ray Sources Discovered with the ASCA Galactic Plane Survey"The Astrophysical Journal. 589. 253-260 (2003)
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[Publications] Bamba, A., Ueno, M.et al.: "Thermal and nonthermal X-rays from the large magellanic cloud superbubble 30 doradus C"The Astrophysical Journal. 602. 257-263 (2004)