2002 Fiscal Year Annual Research Report
実物市場における仲介業者の市場形成・維持機能に関する研究
Project/Area Number |
02J01939
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 一仁 京都大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 実験経済学 / 計算機実験 / (仲介業者による)価格競争 / マーケットシェア獲得競争 / リプリケータダイナミクス |
Research Abstract |
本年度実施した研究は(1)仲介業者の価格形成を実験経済学的に検討、(2)マーケットシェア獲得競争を計算機を用いて分析、の2つである。 (1)実験経済学全般のサーベイおよび2種類の実験(実験は共同研究)を行った。年度前半(5,6月)に仲介業者が独占的に価格を設定する状況での価格形成過程を実験的に検討した。この実験では被験者が実験終了時には理論の結果に近い販売・仕入価格を提示することが示された。さらに被験者の意思決定が経済理論が想定するよりも複雑であるが、合理的でもあることが観察された。この研究に関しては2002年9月,11月に学会報告(査読付き国際学会であるComplex Systems'02と日本ゲーミングアンドシミュレーション(G&S)学会,JAWS2002)を行った。2003年3月現在、英語で論文を執筆しており、2003年度すぐに学術誌に投稿できる状態にしたいと考えている。さらに年度後半(10月から1月)には仲介業者が2人存在する場合の価格競争について実験を行った。これについては現在データ解析を進めており、3月末に行われた進化経済学会で第1稿を報告し、有益なコメントを頂戴した。実験経済学の最近の動向に関するサーベイ論文については2003年3月に京都大学経済論集委員会が発行した経済論集に収録されている。 (2)企業は価格競争や数量競争の他にもマーケットシェア拡大のために競争する。このマーケットシェア獲得競争に関して計算機実験を用いた研究を行った(共同研究)。模倣や革新のない状況では最も生産性の高い企業が市場を独占するという結果となるが、これは現実的ではない。この理論を修正し、模倣や革新要素を導入した。結果的に複数の企業がマーケットシェアを巡って争うという現実的な実験結果が得られた。これについては共同研究者が9月のG&S学会,3月の進化経済学会で報告を行った。これも来年度前半に学術誌に投稿できるように努力している。
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Research Products
(1 results)