2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01946
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 励 京都大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 医療費 / 医療サービス / 薬剤選択 / カルテ / レセプト / アンケート調査 / がん検診 / 医療経済 |
Research Abstract |
1,レセプトデータを用いた医療サービスのアウトカム分析 昨年度に引き続き、実際おこなわれた診療記録からつくられたレセプトデータを用いてデータベースを作成し治療選択間の予後や医療費の比較を行っている。本年度は新たに、近年不必要な抗菌薬使用が問題となっている急性上気道感染症(いわゆるかぜを含む)に関して治療法の違いと治療効果の関係について分析するためのデータベース構築を行った。 2,カルテ・データ、医師へのアンケート調査を用いた医師の薬剤選択に関する分析 独自に行ったアンケート調査から、医師が薬剤処方の際にどのような因子を考慮にいれるか、経済的なインセンティブの違いが処方行動の違いとなって現れるかどうかについての分析を行った。意識調査では、処方の際に「患者の費用負担」を他の医学的な要因と同程度に重視しており、コスト意識をもって薬剤処方を行うことは広く医師の間で受け入れられている。しかしながら、薬剤価格に関する知識について、医師は必ずしも正確な知識を持っていない。一方、より経済的なインセンティブが強い、開業医や開業医で院内処方を行っている医師がより高薬価の薬剤を処方する確率が高いという結果は患者要素をコントロールしても見られなかった。以上の結果を「医療経済研究」に「医師の薬剤処方に関する実証分析」として発表した。 3,遺伝情報の医療サービス供給に与える影響に関する分析 逆選択やモラルハザードといった、保険者と被保険者の間の情報の非対称性に起因する市場の失敗について、本年度は予防行動の一つであるがん検診受診の受診行動の分析を行った。年齢や収入、外来受診の有無、学歴、医療保険の種類が受診促進に関与していると考えられ、保険者による受診勧奨活動の中では、郵送での案内のみが有意に受診率を上げる効果を持っていた。以上の結果を「医療と社会」に「がん検診の受診要因に関する分析」として発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 渡辺励, 高塚直能, 西村周三: "医師の薬剤処方に関する実証分析"医療経済研究. 13巻. 45-70 (2003)
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[Publications] 渡辺励: "がん検診の受診要因に関する分析"医療と社会. 13巻2号. 113-132 (2003)