2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01950
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加塩 朋和 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CMピリオド / P進ピリオド / L函数 / P進L函数 / P進多重ガンマ函数 |
Research Abstract |
吉田敬之教授の研究結果のひとつに、代数体上のL函数のS=0での微分とCMピリオド及び多重ガンマ函数の特殊値との関係を表した予想がある。それらのP進類似を得ることが当面の目標であった。本年度は、上記対象のP進類似であるP進L関数の研究、及びP進多重ガンマ函数の自然な定義、拡張、研究を行い、いくつかの結果を得た。 一つは、P進L函数のS=0での微分値を解析することにより、そのオーダーに関するグロスの予想の部分的結果を得た。すなわちグロスの予想では、同じ代数体、指標に付随するL函数の位数とP進L関数の位数は一致する、となっているが、今回、L函数の位数が2以上であればP進L函数の位数も2以上であることを示した。 更に、P進多重ガンマ函数のある特殊値が、考えている代数体上の素イデアルでPを割るものが完全分解する場合に代数的な値となることを、実験的に及びグロスの予想から導いた。これは代数体が有理数体の場合の結果であるグロスとコブリッツの結果の拡張となっている。またこの式はグロスの予想の仮定条件より広い場合に成立することが数値計算で求められており、グロスの予想の一般化として予想、定式化した。 最後に、P進CMピリオドについてであるが、吉田教授が予想したCMピリオドと多重ガンマ函数との関係式のP進類似を満たすよう、P進CMピリオドを定義した。これはCMピリオドが満たすべきいくつかの性質を満たすことは容易に分かるが、幾何的な対象や他のP進ピリオドの定義との関係はまだはっきりとせず、今後の研究テーマとなっている。
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