2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01962
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 敬 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然油脂 / 酵素触媒重合 / 硬化性ポリエステル / 成分解性 / 人工漆 / 鉄サレン / 両親媒性分子 / 超分子集合体 |
Research Abstract |
自然界に存在する生体触媒や天然油脂を利用し、新規硬化性高分子材料の合成を行った。これまでリパーゼ触媒を用い、不飽和脂肪酸存在下、グリセロール、セバシン酸ジビニルを反応させ、側鎖に不飽和基を有するポリエステルの合成を行ってきた。本年度はジカルボン酸誘導体の検討やプレポリマー中存在する不飽和基を酵素的にエポキシ基に変換し、その硬化を行った。その結果、芳香族ジビニルエステルと比較し、脂肪族ジビニルエステルを用いた場合に最も効率よく反応は進行し、不飽和基含有ポリエステルが得られた。また、リパーゼを触媒に用いてエポキシ基への変換を行った結果、80%以上の高い転化率でエポキシ基含有ポリエステルが得られた。その後硬化を行ったところ、不飽和基含有ポリエステルを用いた場合と比較し、硬度の上昇が見られた。また、本塗膜が生分解性を有することも確認された。 また、人工漆の開発を行った。ウルシオール類似体を新規に合成し、その硬化挙動について検討を行った。芳香環骨格にナフタレン環を導入したウルシオール類似体をペルオキシダーゼのモデル錯体である鉄サレンを用いて重合すると官能基選択的に芳香環のみで反応は進行した。その後硬化を行ったところ、天然漆やこれまでの人工漆と比較し、著しい硬度の上昇が見られた。長鎖不飽和アルキル部に天然のアマニ油や魚油を用いていることから本塗膜は環境調和型塗料材料として期待される。 さらに疎水部に天然油脂に含まれる不飽和脂肪酸を用いた硬化性両親媒性分子の合成を行った。グルコサミンとリノール酸から合成した両親媒性分子では自己集積が起こり、ファイバー状超分子集合体が形成することが確認された。酸化還元酵素であるリポキシダーゼの添加により本ファイバーは形態変化せずに不溶化した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Tsujimoto et al.: "Crosslinkable Polyphenols from Urushiol Analogues"Macromolecular Chemistry and Physics. 202(17). 3420-3424 (2001)
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[Publications] T.Tsujimoto et al.: "Enzymatic Synthesis and Curing of Biodegradable Crosslinkable Polyesters"Macromolecular Bioscience. 2(7). 329-335 (2002)
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[Publications] T.Tsujimoto et al.: "Enzymatic Synthesis and Curing of Biodegradable Epoxide-Containing Polyesters from Renewable Resources"Biomacromolecules. 4(2). 211-215 (2003)