2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01962
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 敬 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然油脂 / 酵素触媒重合 / グリーンナノコンポジット / エポキシ化油脂 / シランカップリング剤 / 生分解性 / 人工漆 / 天然フェノール脂質 |
Research Abstract |
自然界に存在する生体触媒や天然油脂を利用し、新規硬化性高分子材料の合成を行った。 本研究では天然油脂を出発物質に用い、シランカップリング剤との混合により有機-無機ナノコンポジット(グリーンナノコンポジット)塗膜を合成し、得られた塗膜の物性評価を行った。本研究では有機成分として主に天然物由来のエポキシ化大豆油(ESO)を用いた。エポキシ基含有シランカップリング剤(GPTMS)存在下、少量のカチオン性熱潜在性開始剤を添加し熱処理を行ったところ、硬化が進行し透明な塗膜が得られた。本反応ではGPTMSとESOのエポキシ基が共重合し、さらにGPTMSのアルコキシシラン部位の重縮合により無機成分が凝集したナノドメインを形成していると考えられる。ここで得られたナノコンポジットはシランカップリング剤の添加量に伴い、膜物性や力学強度、熱安定性等の向上が見られた。また、生分解性も保持されていることが確認された。無機成分に有機修飾クレイを用いた場合にも力学強度等の向上が見られ、油脂単独硬化物と比較し、高いガスバリア性を示すこともわかった。 また、自然界に存在するフェノール脂質の硬化により新規環境調和型塗料の開発を検討した。具体的には中国産やベトナム産、ミャンマー産の漆に含まれているフェノール脂質を用い、その硬化を行った。ベトナム産漆やミャンマー産漆は乾燥が非常に遅く、得られる膜物性も日本産漆と比較し劣っているため、我が国ではそのまま塗料として使用される場合はほとんどない。第三成分としてタンパク質加水分解物存在下、ラッカーゼ触媒を添加したところ中国産、ベトナム産漆では速やかに硬化が進行し、日本産漆と同等の膜物性を有する塗膜が得られた。産出量の減少が懸念されている日本産漆の代替原料として期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Tsujimoto et al.: "Green nanocomposites from renewable resources : plant oil-clay hybrid materials."Chemistry of Materials. 15(13). 2492-2494 (2003)
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[Publications] T.Tsujimoto et al.: "Green nanocomposites from renewable resources : Biodegradable plant oil-silica hybrid coatings."Macromolecular Rapid Communications. 24(12). 711-714 (2003)
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[Publications] T.Tsujimoto et al.: "Synthesis and Curing Behaviors of Cross-Linkable Polynaphthols from Renewable Resources : Preparation of Artificial Urushi."Macromolecules. 37(5). 1777-1782 (2004)