2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01966
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 正一 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピンクロスオーバー錯体 / スピン-軌道相互作用 / LIESST / DNA / コンダクタンス / ラウダウアモデル |
Research Abstract |
1.スピンクロスオーバー錯体のスピン転移メカニズムに関する研究 スピンクロスオーバー錯体の光によるスピン転移現象(LIESST現象)は光スイッチング素子などへの応用可能性から興味が持たれており,現在までに多くの研究がなされている(この現象は主にFe(II)錯体で見られる).Fe(II)錯体におけるLIESSTでは3重項状態が関与していると考えられているが,スピン転移の詳しいメカニズムは完全には理解されていない.そこで我々は,メカニズム理解への第一歩としてFe(II)錯体のスピン-軌道相互作用の大きさを量子化学的手法を用いて解析した計算の結果から,(1)1重項・5重項励起状態と3重項最安定状態(^3T_1)間のスピン-軌道相互作用は小さくこの状態を直接経由する経路は不利であると考えられる,(2)一方3重項励起状態(^3T_2)と各状態間のスピン-軌道相互作用は大きくこの^3T_2状態がLIESSTにおいて重要な役割を果たしている可能性かあること,がわかった. 2.DNAワイヤーの伝導特性解析 実験的に得られているDNAの電気伝導性は金属的から絶縁体的まで様々であり,結果の解釈には理論的なサポートが必要である.本研究ではアテニン・チミンの塩基対が12対並んだDNAワイヤーの伝導特性,特に電極との接続部位の違いによる伝導度の変化について,クリーン関数法により理論的に解析した.このDNAワイヤーの原子数は766と非常に大きいため,拡張ヒュッケル法を用いて波動関数を求めた.我々の計算は接続部位の違いにより伝導度が大きく変化することを示唆している.具体的には(1)電極が塩基対に接続されている場合は半導体的な振る舞いを示すが,(2)糖に接続されている場合は塩基対に場合に比べ伝導度が小さくなり絶縁体的になる.
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[Publications] M.Kondo, K.Yoshizawa: "A theoretical study of spin-orbit coupling in an Fe(II) spin-crossover complex. Mechanism of the LIESST effect"Chemical Physics Letters. 372. 519-523 (2003)
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[Publications] T.Tada, M.Kondo, K.Yoshizawa: "Theoretical measurements of conductance in an (AT)_<12> DNA molecule"ChemPhysChem. 4. 1256-1260 (2003)
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[Publications] A.Ogawa, M.Tachibana, M.Kondo, K.Yoshizawa, H.Fujimoto, R.Hoffmann: "Orbital interactions between a C_<60> molecule and Cu(111) surface"The Journal of Physical Chemistry B. 107. 12672-12679 (2003)
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[Publications] T.Tada, D.Nozaki, M.Kondo, K.Yoshizawa: "Molecular orbital interactions in the nanostar dendrimer"The Journal of Physical Chemistry B. 107. 14204-14210 (2003)