2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01966
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 正一 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェニルジチオールワイヤー / コンダクタンス / 分子軌道解析 / フェニルアセチレン / バンド構造 |
Research Abstract |
1.フェニルジチオール分子におけるコンダクタンスの分子長依存性に関する研究 本研究では一連のフェニルジチオール分子(n=1-5)のコンダクタンスを密度汎関数法を用いて系統的に調べた.特にベンゼン環の配列が平面からずれることによる伝導特性への影響について考察した.計算により得られたフェルミ面近傍のコンダクタンスは平面・非平面型ともにnが2以上で指数関数的に減衰する.同じ分子長のワイヤでは非平面型の方が平面型よりコンダクタンスが小さい.この系のコンダクタンスの分子長に対する減衰因子(対数関数の傾き)を求めたところ平面型では0.165Å^<-1>,非平面型では0.256Å^<-1>であり,類似分子系における実験値(0.35-0.5Å^<-1>)と比較しうる結果を得た,分子軌道解析により,(1)この分子系では最高被占軌道(HOMO)が低電圧における分子伝導に重要な役割を果たし,(2)ベンゼン環のねじれによるHOMOの安定化がFermi面近傍における伝導度を小さくし減衰因子の上昇に寄与している,と結論した. 2.フェニルアセチレン骨格を有する分子ワイヤの伝導特性 拡張ヒュッケル法にもとづくバンド計算によりフェニルアセチレン骨格を有する様々な分子鎖の電子状態を解析を行った.シス/トランスポリエチレンと類似の構造を持つ分子鎖はバンドギャップが2.56eVの絶縁体であった.この傾向は鎖の幅を広くしても変わらず,2次元シートの極限までバンドギャップが一定であることが示唆された.一方,パラフェニルアセチレン鎖が平行に並んだ構造を有する分子鎖では鎖が太くなるにつれてバンドギャップが小さくなり,2次元シートの極限(グラフィン)でバンドギャップが0.9eV程度の半導体であるという結果を得た.結晶軌道の解析から、特にシス/トランスポリエチレンと類似型の分子鎖でバンドギャップが一定となる理由を明かにした,
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