2002 Fiscal Year Annual Research Report
双安定性複核錯体モジュールを用いた高次元錯体集積体の構築
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02J01977
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
望月 勝紀 京都大学, 工学研究科・合成・生物化学専攻, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
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Keywords | 複核錯体 / カテコラート / 非局在化 / ルテニウム / ロジウム |
Research Abstract |
本研究では単核錯体に比べて多様な電子構造を形成することができる、金属間結合を有する複各錯体をモジュールとした機能性材料の開発を行っている。本年度は非局在化した電子構造を有する分子性モジュールを合成するため、配位子としては金属イオンのd軌道と近接したエネルギー準位のπ軌道を有し、かつ酸化還元活性能を有することが報告されているカテコール誘導体を用いての素子開発を中心に行った。 電子的性質、立体的性質が異なる種々のカテコール誘導体を配位子に用い、金属にルテニウムを用いた場合、3,6-di-tert-butylcatecholを用いた場合に他のカテコール誘導体を用いた場合と類似の構造を有するにもかかわらず、特異的な酸化還元能を示す二核錯体が形成されることを明らかにした。また、分子軌道計算の結果はHOMOが金属イオンと配位子上とに非局在化した軌道であることを示した。この錯体は二段階の段階的酸化が可能であることを既に明らかにしており、現在その酸化体の電子構造について検討しており、これまでの結果と併せてアメリカ科学会誌Journal of the American Chemical Societyに投稿準備中である。 他の金属イオンとしては、金属間結合による集積化を視野に入れd電子を多くもち集積化が比較的容易と考えられるロジウムを用いた。しかし、配位子がカテコラート誘導体のみではロジウムイオンが高酸化状態になりやすいと傾向があり、金属間結合の構造制御において劇的な効果が得られなかった。そこで2,2'-bipyridine及びその誘導体をco-ligandとして用い、低酸化状態のロジウムイオンを含む錯体の合成を検討した。一般的な2,2'-bipyridine誘導体では電子がカテコラート配位子上に局在化したため、今後2,2'-bipyridine誘導体に電子吸引性置換基を導入した配位子を用い、co-ligandによる電荷状態の制御を行う予定である。
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