2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNAらせん構造を利用した分子ワイヤーと分子素子の開発
Project/Area Number |
02J01978
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 一生 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ホール / ナノテクノロジー / 電極 / DNA |
Research Abstract |
DNA中の電荷移動反応において、配列中の核酸塩基の酸化電位と配列にその効率が大きく影響を受けることが知られている。前年度までに高いホール輸送能を有し、DNAワイヤーを校正するのに相応しい新規修飾核酸塩基の開発に成功している。今年度はこの修飾塩基で構成されている人工DNA型高分子のホール移動の効率の制御を行った。さらに、直列に並んだ制御点(ゲート)の組み合わせにより分子コンピュータの基本構成回路である論理回路の構築を行った。この研究を発展させ、任意の論理回路を構築するプロトコルの作成に成功した。 また、現在までのDNA内ホール移動反応はゲル電気泳動という分子生物学的な手法で行われている。これは材料の分野にDNAを応用していく際、大きな障害となる。その為、DNA内ホール移動を電気化学的な検出法を用いて行う系の構築も併せて行った。現在までの研究では電極上にDNAを固定化し、配列や塩基の種類を電気化学的な信号として取り出すという研究が報告されている。しかし、電子が移動しているのか、ホールが移動しているのかという基本的な問題が解決されていなかったことから、電極上で一電子光反応を行い、ホール移動を発生させ、電流変化としてホール移動を確認するための系の設計を行った。その結果、ゲル電気泳動の実験から、ホール移動が確認されている配列では電流応答が見られたが、ミスマッチ塩基対を導入したり、電荷注入効率の抑制された配列では電流応答がほとんど見られなかった。このことは、DNA内ホール移動反応を、初めて電気化学的に検出できたことを示す。
|
Research Products
(6 results)