2003 Fiscal Year Annual Research Report
火災時の煙流動性状予測と建築設計計画への応用に関する研究
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02J01990
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仁井 大策 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火災 / 煙流動予測 / 機械排煙 / 界面混合 / 階段室 / 煙突効果 / 乱流拡散 / 可燃物配置 |
Research Abstract |
平成15年度には煙流動予測プログラム(二層ゾーンモデル)に組み込むことを目的とした以下のツールを作成した。 1)機械排煙口への空気混入予測ツール 昨年度の研究成果では、明確にされていなかった物理現象を把握するために、実験および定式化を行い、界面の上昇および混合量を説明するモデルを作成した。昨年度の成果では、実験による経験的な予測式を用いていたが、理論的に定式化を行ったことにより、予測ツールの信頼性が向上したと考えられる。 この研究成果は、日本建築学会環境系論文集に第1報が掲載され、第2報は現在審査中である。 2)階段室内の煙流動予測ツール 避難・消防・救助の重要なルートである階段室内は本来煙から防護されるべき空間であるが、44人の死者を出した新宿明星56ビル火災のように、火災の発生および煙の侵入のおそれが大いにある。そこで、既往の研究結果を基に、階段室内の煙流動性状を予測するツールを作成した。このツールは、火源上方の開口の有無によって煙突効果による急激な煙の上昇あるいは乱流拡散による煙の上昇をモデル化し、階段室内の温度および煙濃度を予測することができるようになった。これにより、階段が煙で汚染されることにより上階に閉じこめられた避難者を保護するための対策や、消防が救助活動を行う際の階段室内への突入の判断に関する安全性を論ずることができるようになった。 この研究成果は、第6回アジア=オセアニア火災安全技術シンポジウムにて口頭発表を行った。 3)設計火源作成のための可燃物配置 可燃物からの煙発生量を把握するために、可燃物の種類・大きさ・配置に関する実態調査を行った。その結果、建築物の用途・室の種類によって異なるパターンで偏在する可燃物の配置を特性化した。この研究は来年度も継続して行う。 この研究成果は、第6回アジア=オセアニア火災安全技術シンポジウムにて共著として口頭発表を行った。 以上の成果により、実際の建築物に起こりうる火災を詳細に予測するためのツールが作成された。これらのツールを煙流動予測プログラムに組み込むことにより、予測結果が建築設計・安全計画および消防計画にも応用されると考えられ、社会にとって有用な研究成果であると考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 仁井大策, 原田和典: "火災時の機械排煙口への空気混入限界の定式化と実験による検討 二層ゾーンモデルにおける機械排煙口への定式化(その1)"日本建築学会環境系論文集. No.573. 9-16 (2003)
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[Publications] Daisaku Nii, Noe Takehira, Kazunori Harada et al.: "A model of smoke movement in stair shaft"Proceedings of the 6^<th> Asia-Oceania Symposium on Fire Safety Technology. 419-431 (2004)
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[Publications] 仁井大策, 原田和典, 鉾井修一, 高田暁: "設置部位の異なる機械排煙口への空気混入"平成15年度日本火災学会研究発表梗概集. 68-71 (2003)
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[Publications] 仁井大策, 原田和典, 鉾井修一, 高田暁: "壁付け機械排煙口への空気混入"日本建築学会近畿支部研究報告集. 第43号 環境系. 325-328 (2003)
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[Publications] 仁井大策, 原田和典, 鉾井修一, 高田暁: "高効率・長時間継続を意図した排煙風量設定法"日本建築学会学術講演梗概集(東海). A-2 防火. 71-74 (2003)
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[Publications] Harada Kazunori, Tomoka Jouren, Daisaku Nii, et al.: "Characterization of Combustibles for Engineering Fire Calculations"Proceedings of the 6^<th> Asia-Oceania Symposium on Fire Safety Technology. 73-84 (2004)