2002 Fiscal Year Annual Research Report
3次元フォトニック結晶による自然放出制御と点欠陥レーザ作製に関する研究
Project/Area Number |
02J01995
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 新平 京都大学, 工学研究科・電子物性工学専攻, 特別研究員DC1
|
Keywords | フォトニック結晶 / 自然放出制御 / ウエハ融着 / 異種材料融着 / 発光体 / 点欠陥 / 微小共振器 / モード制御 |
Research Abstract |
本年度は、3次元フォトニック結晶による自然放出制御を目指して、3次元フォトニック結晶への発光体並びに点欠陥の導入を行い、作製した試料の光学特性の評価を行った。以下に概要を示す。 1.3次元フォトニック結晶を構成する材料には、表面状態の制御性の良さからGaAsを選択し、ストライプ型に加工したGaAsをウエハ融着を用いて積層することで、光通信波長域に完全フォトニックバンドギャップ(PBG)をもつ3次元フォトニック結晶を作製している。しかし、内部に発光体を導入する場合、発光波長の問題から発光体にはInGaAsP/MQWを用いざるを得ず、GaAsとInGaAsPの融着が必要となる。しかし、これらの材料は熱膨張係数が異なるため、通常の融着では互いに外れようとする力が発生し融着が不可能である。そこで、融着界面を非破壊で観察することのできる超音波走査型顕微鏡(SAM)を導入し、融着温度と熱膨張ストレスの影響を詳細に評価した。その結果、基板を段階的に薄膜化しつつ、融着温度を上昇させることで熱膨張ストレスの影響を回避しながら十分な融着強度を得るという異種材料間における新たな融着方法を開発し、9層3次元フォトニック結晶に発光体を導入した試料の作製に成功した。 2.作製した9層3次元フォトニック結晶に発光体を導入した試料に対して様々な方向における透過率ならびにフォトルミネッセンス(PL)を測定した。その結果、全ての方向において、透過率から求められるストップバンドでPLも減衰していることから、完全PBGによって発光が減衰していることが明らかになった。 3.発光体には様々な大きさの点欠陥発光体が導入されている。欠陥領域の発光特性を評価した結果、3次元フォトニック結晶の光閉じ込め効果により発光が欠陥領域に局在し、欠陥形状に固有のモードが存在していることが分かった。また欠陥の大きさと欠陥モード数を評価した結果、欠陥を微小化するに従って欠陥モード数も減少していることが明らかになった。また欠陥モードのQ値を評価し、Q値はほぼ欠陥の大きさに依存していないことを示した。 以上、本年度の研究においては3次元フォトニック結晶による自然放出制御ならびに点欠陥レーザを作製する上での基礎を確立した。今後の展開としては、さらなる積層数の増加および発光再結合寿命の評価が挙げられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Susumu Noda, Masahiro Imada, Makoto Okano, Shinpei Ogawa, Masamitsu Mochizuki, Alongkan Chutinan: "Semiconductor Three-Dimensional and Two-Dimensional Photonic Crystal and Devices"IEEE Journal of Quantum Electronics. 38. 721 (2002)
-
[Publications] Shinpei Ogawa, Masahiro Imada, Susumu Noda: "Analysis of Thermal Stress in Wafer Bonding of Dissimilar Materials for Introduction of an InP-Based Light-Emitter into a GaAs-Based Three-Dimensional Photonic Crystal"Applied Physics Letters. (accept).