2003 Fiscal Year Annual Research Report
3次元フォトニック結晶による自然放出制御と点欠陥レーザ作製に関する研究
Project/Area Number |
02J01995
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 新平 京都大学, 工学研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | フォトニック結晶 / 自然放出制御 / 発光再結合寿命 / 非発光再結合 / ストリークカメラ / 発光体 / 微小共振器 / モード制御 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度3次元フォトニック結晶への発光体ならびに欠陥の導入に成功したことを受け以下の研究を行った。 1.昨年度作製した9層3次元フォトニック結晶に点欠陥発光体を導入した試料に対して、様々な方向において欠陥領域のPLを測定することにより、欠陥モードの放射方向について評価を行った。その結果、欠陥の形状に依存して放射方向の依存性が明らかになった。 2.3次元フォトニック結晶に期待される自然放出制御効果(自然放出の抑制および増強)を直接的に実証するには発光再結合寿命の評価が必須である。光の状態密度が3次元フォトニック結晶の効果により変調を受けた場合、電子系、つまり励起キャリアの発光再結合寿命も変調を受ける。この発光再結合寿命をフォトルミネッセンス(PL)の時間分解測定を行うことで評価した。 3.3次元フォトニック結晶内に発光体を導入する場合、屈折率分布の周期性を乱さないように結晶と同様にストライプを形成しているため、多重量子井戸の側面が露出する。このため非発光再結合過程が多数存在する。PLの時間分解測定で求めることができるのは、非発光再結合過程と3次元フォトニック結晶の効果が及ぶ出と考えられる発光再結合過程が混在している状態におけるキャリアの寿命である。そのため試料を冷却することで非発光再結合過程の影響が無視できる程度の温度を求め、フォトニック結晶の効果を正確に評価するための基礎を築いた。 4.5層フォトニック結晶に発光体を導入した試料について、発光再結合寿命の評価を行った結果、完全フォトニックバンドギャップ内で寿命が長くなっている可能性が高いことを明らかにした。 5.同様に9層フォトニック結晶に発光体を導入した試料について同様に発光再結合寿命の評価を行った結果、完全フォトニックバンドギャップ内で寿命が長くなっている可能性が高いことを明らかにした。5層と比較して寿命の変化の割合は大きいことが期待される。 6.17層に発光体を導入した試料の作製を目指し、多層化における作製条件の最適化を行った。 以上、本年度の研究においては3次元フォトニック結晶による自然放出制御の直接的な評価として発光再結合寿命の評価を行い、またさらに多層化した試料の作製に向けて様々な作製条件の最適化を行った。今後はより詳細なキャリア寿命の評価と多層化した試料の作製を行っていく予定である。
|