2002 Fiscal Year Annual Research Report
平面内細胞極性の形成:7回膜貫通型カドヘリンが制御するシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
02J02022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 裕子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平面内細胞極性 / ショウジョウバエ / 7回膜貫通型カドヘリン / Frizzled / Flamingo / 経時観察 |
Research Abstract |
多細胞生物の形つくりの過程では、組織や器官レベルのパターン形成だけでなく、細胞レベルでのパターン形成が行われている。本研究は、細胞のパターン形成の1つとして、ショウジョウバエ翅上皮平面内に発達する平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)の形成過程に注目し、その分子機構を解明することを目指している。本年度は以下の成果をあげた。 1、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、生細胞内で分子の挙動を経時観察する実験系を立ち上げた。そして、PCPを制御する分子の1つであるFrizzled(Fz)に蛍光タンパク質を融合させた分子(Fz::GFP)の挙動を経時観察したところ、翅毛形成の数時間前に、粒子状のFz::GFPのシグナルが、細胞の遠位側境界に一過的に偏って運ばれることを見出した。また、7回膜貫通型カドヘリンFlamingoや細胞質因子Dishcvelledの機能が失われた時には、そのような粒子状のシグナルはほとんど検出されなかった。 2、脂溶性の色素を蛹の翅に取り込ませることで、エンドソームを標識した。Fz::GFPのシグナルの一部が色素と共局在したことから、経時観察している分子の一部はエンドソーム内に含まれることがわかった。 以上の結果から、Fz::GHPが細胞内で偏って運ばれる分子機構について、いくつかの作業仮説を立てることができた。現在は、それらの仮説を検証するために、様々な薬剤を翅に注入し、Fz::GHPの分布に及ぼす効果を調べている。本年度の研究では、PCPを制御するタンパク質が細胞内で偏る分子機構を探る上で、重要な足がかりを作ることができたと考える。来年度は、この実験系を用いて、PCP形成の分子機構をさらに追求できるものと考えている。
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Research Products
(1 results)