2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNA配列特異的ミスマッチ認識能を有する人工マルチ亜鉛フィンガー蛋白質のデザイン
Project/Area Number |
02J02027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 渉 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 亜鉛フィンガータンパク質 / リンカー配列 / DNA配列特異的認識 |
Research Abstract |
研究計画に沿い,亜鉛フィンガータンパク質のドメイン間をつなぐリンカー配列におけるDNA結合への寄与に関する研究を進めている。亜鉛フィンガータンパク質のDNA結合は連続したDNA配列に対する配列特異的な認識に重点をおかれて研究が進んできた。ファージディスプレイ法を中心とした研究により任意のDNA配列を認識する亜鉛フィンガータンパク質の創製が可能となってきている。亜鉛フィンガータンパク質は亜鉛イオンを配位してββα構造にフォールドした亜鉛フィンガードメインによって構成され、αヘリックスがDNA認識に重要な役割を果たしている。各亜鉛フィンガードメインはアミノ酸5残基からなるリンカー配列で連結されている。筆者らはこれまでにリンカー配列がDNA結合において大きく影響することを明らかにした。今年度の研究においてはリンカー配列を延長することで不連続な認識配列に対して特異的に結合する新規亜鉛フィンガータンパク質の創製を試みた。Sp1亜鉛フィンガータンパク質はGC配列を特異的に認識し、結合することが知られている。亜鉛フィンガードメインは1ドメイン当たり3塩基のDNA配列を認識することができ、Sp1の3フィンガータンパク質は9塩基を認識する。Sp1のGC認識配列中にAT塩基対を導入することで不連続な認識配列とした。リンカー配列の延長にはフレキシブルなアミノ酸配列であるGly-Gly-Serを基にした配列を2-4残基挿入した。リンカー配列を延長したSp1亜鉛フィンガータンパク質は認識配列に導入したAT塩基対が延長したリンカーの位置と一致する配列を特異的に認識することがゲルシフト法によって明らかになった。また、その特異性はBIACOREを用いたSurface Plasmon Resonanceによっても示された。フットプリント法では延長したリンカー配列がAT塩基対の部分に位置している可能性が示された。今回の研究によって得られた結果は人工亜鉛フィンガータンパク質の認識コードの拡張に新たな可能性を提供するものである。
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