2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石丸 謙吾 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 木質炭素化物 / 微細構造 / 高温熱処理過程 / 難黒鉛化性炭素 / 不均一黒鉛化 / ダイヤモンド構造 |
Research Abstract |
昨年度までは、1000℃以下の炭素化初期過程における木質炭素化物の微細構造の解析とその形成機構に関する研究を中心に遂行してきた。本年度は、昨年度までの研究結果を踏まえて、1000℃以上の高温熱処理過程で調製した木質炭素化物の微細構造の解析を中心に行い、低温から高温度熱処理温度域までの木質炭素化物の微細構造の形成機構について検討を行った。その結果、以下に記すような木質炭素化物の微細構造の形成機構に関する重要な知見だけでなく他の炭素材料の微細構造とも関連した新しい知見が得られた。 1000〜1800℃の高温熱処理した木質炭素化物を顕微ラマン分光法、X線光電子分光法および透過型電子顕微鏡で分析および観察を行った結果、1200〜1400℃の間で炭素構造が著しく発達することが明らかになった。1600℃以上の熱処理温度域では、木質炭素化物の細胞壁の表層部の炭素構造は、細胞壁の断面部と比べて発達することが観察された。木質炭素化物の分類される難黒鉛化性炭素は、高温熱処理過程において不均一黒鉛化と呼ばれる不均一な炭素構造の形成過程を示すとされる。本研究で得られた細胞壁の表層と断面部の炭素構造の差異に関する知見は、難黒鉛化性炭素の不均一黒鉛化の形成過程と密接に関係した、重要な知見であると考えられる。現在、これらの結果は、「Structural analysis of wood carbonized at high heat treatment temperatures.」として炭素学会誌に投稿準備中である。 高温熱処理木質炭素化物を顕微ラマン分光法で詳細に検討した結果、木質炭素化物の微細構造には、ダイヤモンド構造に代表されるsp^3結合炭素が存在することが明らかになった。現在、この結果は「sp^3 bonded carbon in cabonized wood.」としてCarbon誌に投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)