2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02165
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
橋本 尚志 東京理科大学, 理工学研究科, DC2
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Keywords | 天体核反応 / 不安定核ビーム / 反応断面積 |
Research Abstract |
本研究は低エネルギーの不安定核ビームと多重飛跡検出型のガス検出器(MSTPC)および中性子検出器を使用することで不安定核の関与する中性子放出反応の系統的な直接測定を行い、その反応率を測定することによって元素の起源とその進化を定量的に明らかにするものである。 本年度はまず生成した^<16>Nビームの基底状態とアイソマーの比の測定をおこなった。この結果、我々の生成したビームには35±1%のアイソマーが含まれていることが伴った。さらに昨年度取得したデータである^<16>N(α,n)^<19>Fの解析を行った。この結果、重心系で3MeVまでのエネルギーでは従来の理論で予測されていたものと同程度の断面積が得られたがそれ以下のエネルギーでは理論値に比べ大きな断面積を得た。特にα過程元素合成で重要となる重心系で2MeV以下の範囲では最大10倍の増加が見られた。これはビーム中のアイソマー比のみで説明することは困難である。なお^<16>N(α,n)^<19>F反応の断面積の直接測定は世界初の成果である。 また、ガス検出器(MSTPC)の高計数率測定に対する安定動作の為の試験開発を行った。MSTPC内部にゲーティンググリッドと言う手法を新たに導入することで100kcpsまでのビームレートに対しての安定動作を確認した。 本年度後半に^8Li(α,n)^<11>B反応のためのビーム生成実験および本測定を行った。ビーム生成実験では最大40kcpsの強度と99±1%の純度を持つビームを生成することが出来た。さらに続けて行った本測定の解析からは予備的な結果ではあるがr過程元素合成において重要と考えられている重心系で1MeV以下の領域において共鳴状態のような断面積の増大が見られた。この反応についてはさらに詳しい解析を継続中である。
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