2004 Fiscal Year Annual Research Report
味覚調節の分子機構-ガストデューシンRGSのクローニング-
Project/Area Number |
02J02189
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
増保 生郎 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 味覚 / 脱感作 / 順応 / 味細胞 / RGS / ガストデューシン / STC-1細胞 / GRK |
Research Abstract |
我々の味覚は、継続的な味刺激にさらされるとその味に慣れ、味を感じ難くなる。これは味覚の順応と呼ばれ、我々が日常的に経験する現象であるが、その分子機構はまったく分かっていない。現在、うまみ、甘味そして苦味は味細胞上のGタンパク質共役型受容体に受容され、味細胞特異的Gタンパク質であるガストデューシンを介して伝達されることが知られている。一方、Gタンパク質情報伝達系の代表的な脱感作因子としてRGSとGRKが知られている。そこで、味細胞に発現し味覚の順応を引き起こすRGSとGRKの同定を試みた。 現在、味覚の情報伝達系の解析に有用な味細胞由来の細胞株は樹立されていない。一方、小腸由来の細胞株、STC-1細胞が苦味受容体を発現し、苦味に応答することが最近報告された。そこで、このSTC-1細胞をモデル細胞として利用し、この細胞の苦味応答をカルシウムイメージング法で解析した。STC-1細胞は、代表的な苦味物質のデナトニウムとカフェインに濃度依存的な応答を示し、また味細胞と同様にホスホリパーゼCを介して苦味に応答していることが明らかになった。さらに、STC-1細胞と味細胞にGRK2とRGS9が発現していることを見出した。また、GRK2をSTC-1細胞に過剰発現させると、カフェイン応答を変化させるが、デナトニウム応答は影響されないことを見出した。このように、STC-1細胞が味細胞と類似した苦味情報伝達系を持つこと、さらにRGS9とGRK2が味細胞内において味覚の順応に寄与していることが推測された。
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Research Products
(3 results)