2002 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物における脂肪細胞由来レプチンの生理学的研究
Project/Area Number |
02J02201
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
徳田 智美 島根大学, 生物資源科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 反芻動物 / レプチン / 体脂肪 / 肥育 |
Research Abstract |
反芻動物における肥育に伴う飼料摂取量と血漿中レプチン濃度との関連 日本人はやわらかく、筋間脂肪いわゆる「さし」の多い肉を好むため、筋間脂肪の多いウシを生産するために、肥育期間を長くし、濃厚飼料を多給した特殊な飼育方法をとっているが、肥育後期に飼料摂取量が減少することが時々問題どなうている。レプチンは食欲抑制作用を持ち、体脂肪率と関連を持ち正の相関を示すホルモンであるため、レプチンがウシの肥育後期の飼料摂取量減少に関わっているかもしれない。本試験では、7から9ヶ月齢のメンヨウを用いてバイパス牛脂添加によりエネルギー含量を向上させた濃厚飼料と粗飼料を自由摂取させ、7ヶ月間の肥育試験を行った。そして、メンヨウの肥育に伴う血漿中レプチン濃度の変化と肥育成績および飼料摂取量との関連について検討した。また、ヒトにおいて血中のレプチン濃度は体脂肪とかかわらず、男性よりも女性で高いということが示唆されており、去勢雄と雌メンヨウについて血漿中レプチン濃度の性差についても検討した。 その結果、雌メンヨウの血漿中レプチン濃度は肥育に伴って上昇したが、去勢雄メンヨウではその傾向は認められずほぼ一定に推移し、去勢雄メンヨウよりも雌メンヨウでレプチン濃度は有意に高くなった。また、脂質代謝に関わる血漿中インスリン濃度も肥育に伴って上昇し、血漿中レプチン濃度と高い正の相関係数を示した。筋肉中の粗脂肪含量も去勢雄メンヨウよりも雌メンヨウで高く、血中レプチン濃度は体脂肪の蓄積により影響されていると考えられる。雌メンヨウでのレプチン濃度は肥育試験後期に急激に上昇し、そのとき飼料摂取量の減少が認められたこのことから、血漿中のレプチン濃度は肥育後期の飼料摂取量減少に関わっている可能性が示唆された。このことから、レプチンを使って反芻動物の飼料摂取量を操作することにより、肥育牛の生産性を向上させることが可能であるかもしれない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomomi Tokuda, Carole Delavaud, Yves Chilliard: "Effects of dietary energy levels on plasma leptin in sheep"Animal Science Journal. 73. 471-478 (2002)
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[Publications] Tomomi Tokuda, Carole Delavaud, Yves Chilliard: "Plasma leptin concentration in pre-and post-weaning lambs"Animal Science. (掲載予定). (2003)