2002 Fiscal Year Annual Research Report
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02J02231
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
八木 良平 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | パキシリン(paxillin) / インテグリン(integrin) / ショウジョウバエ(Drosophila) / 形態形成(morphogenesis) / 細胞運動(cell migration) / RNA干渉(RNA interference) / LIMドメイン(LIM domain) |
Research Abstract |
パキシリンはLIMドメインをはじめ複数の蛋白質結合ドメインより構成される、インテグリン裏打ち蛋白質である。この蛋白質は細胞の基本的生理現象である細胞-外部基質接着、アクチン細胞骨格の再構成、膜輸送等に関与すると考えられているが、その個体発生における役割については不明な点が多い。パキシリンの個体発生における役割、その分子機構を明らかにするため、本年は主にショウジョウバエの系を用いた遺伝学的解析を行った。ショウジョウバエではパキシリン遺伝子座から哺乳類パキシリンホモログ(DPxn)以外に、3つのLIMドメインのみから構成される蛋白質も産生する。DPxnのみを選択的に欠失した変異系統は存在せず、またパキシリン遺伝子座付近には多数の遺伝子が散在しているため、P因子挿入変異等の変異系統の単離は困難と考えられた。そこでDPxnの選択的発現抑制が可能な、DNA型RNAi法を用いた。様々な組織で発現するGAL4系統と、DPxnの逆方向反復配列(IR)をもつUAS系統を交配させたところ、翅で高発現するGAL4系統との交配の場合に幾つかの形態異常が認められた。特に発生段階を通じて一様に発現すると考えられるtubulin-GAL4系統や、3齢幼虫の成虫原基で発現する71B-GAL4系統との交配においては、翅にblisterが生じた。ショウジョウバエの翅は二枚の上皮細胞層が外部基質を介して互いに接着した構造をもつ。この接着が損なわれるとblisterが生じること、またこの接着には主にインテグリンとその裏打ち蛋白質の機能が必要であることが明らかにされている。従って、ショウジョウバエの個体発生においてDPxnは翅上皮細胞層間の接着に必要であると考えられ、また哺乳類培養細胞と同様にインテグリンの裏打ちとして機能することが予想される。
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