2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02289
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
梶原 羊一郎 静岡大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 勝負手探索 / ゲーム木探索 / 混合戦略 / ゲーム情報学 / 人工知能 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
勝負手探索の実装に先立って理論的な考察を行い、種々のゲームでの勝負手探索を設計および、実装を目的として本研究を進めている。将来的には、古典的なゲームをさらに拡張し、経済や外交交渉などで本研究のアイデアを一般化し応用できるようにしたい。 平成14年度の成果は、アマゾンと将棋の二つのゲームを題材として、勝負手探索アルゴリズムのいくつかを設計し、計算機上に実装したことである。標準的なアルゴリズムであるミニマックス戦略との比較によって、考案した勝負手探索の性能を評価した。ここでいう勝負手探索は、狭義の定義として、自分はすでに負けがわかっていて、かつ、相手にとってはまだ自明でない状況で、自分が最善の策を尽くす戦略を意味する。 主要なアイデアは、探索過程で証明数が大きい局面ほど相手にとって容易でないと仮定するのは合理的な状況設定ということである。つまり、相手側にとって、証明数が最大となるように局面を誘導するような探索アルゴリズムが、勝負手として有効である。また、勝負手探索は、通常より大幅に探索コストを必要とするために、いつそれを用いるかの戦略が重要である。必然的に、通常のミニマックス方式の戦略とここで提案する勝負手戦略の混合戦略というスタイルになる。このようなアイデアを実装したプログラムを作成し、対戦実験やテスト問題による実験を実施した。実験を通して、提案するアイデアの有効性を確認した。しかし、高度なレベルではまだ実用的でないことも明らかとなった。名人を超えるシステムを開発するためには、まだ改良しなければならない点が多い。今後の課題となる。 勝負手探索とともに混合戦略で用いるための探索アルゴリズムとして、ミニマックス戦略をより洗練した確率実現探索アルゴリズムの実装を試みた。まだ十分洗練されていないため、名人レベルには程遠いが、対戦実験を通してかなり有望であることがわかった。選択的により深く先読み探索を行う探索延長テクニックの一般化として定式化が見込める。今後、この方面での洗練を発展させることで、勝負手探索との調和のとれた使用が可能になるものと期待している。 当該年度は主として終盤での勝負手に焦点を当てて実装を実施した。序盤、中盤の時点でも必要に応じて勝負手ができるように改善するのが今後の課題である。 論文以外の成果は、新しいゲームシステムの特許出願と、コンピュータオリンピックへの出場である。メダル獲得はならなかったが、将棋部門では、優勝・準優勝のプログラムに勝利をすることができ、本研究で提案するアイデアの有効性を検証できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Taketoshi, M., Hashimoto, T., Kajihara, Y., Nagashima, J., Iida, H: "Realization-Probability Search in Computer Shogi"Proceedings of the 7th Game Programming Workshop. 87-92 (2002)
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[Publications] Kajihara, Y., Hashimoto, T., Iida, H: "A Speculative Play in Shogi Endgame"Proceedings of the 7th Game Programming Workshop. 57-64 (2002)
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[Publications] Yoichiro Kajihara, Hiroyuki Iida: "(D, d)OM-Search For Practical Use"Proceedings of the Game Informatics Workshop. 25-28 (2002)