2003 Fiscal Year Annual Research Report
海馬CA3錐体細胞におけるNMDA受容体の選択的分布のメカニズムの解明
Project/Area Number |
02J02334
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
掛川 渉 群馬大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 苔状線維シナプス / 海馬CA3錐体細胞 / NR2B / Ca^<2+>透過性AMPA受容体 / シンドビスウィルス / 長期増強 / 培養海馬スライス / GFP |
Research Abstract |
海馬CA3錐体細胞は層別こ異なる興奮性入力を受けており、多くの入力線維シナプス下膜においてAMPA受容体とNMDA受容体が共在しているが、苔状線維(mossy fiber:MF)シナプス下膜ではNMDA受容体の発現を欠く。本研究では、MFシナプス下膜におけるNMDA受容体の排除機構およびNMDA受容体発現がシナプス下膜へのAMPA受容体発現・移行様式に与える影響を明らかにするため、海馬CA3錐体細胞にNMDA受容体、AMPA受容体を強制発現させ、MFシナプス下膜にNMDA受容体を集積させるための条件をAMPA受容体の集積様式と共に検討した。 まず、NMDA受容体のシナプス下膜への集積機構を検討するために、NMDAR2B(NR2B)サブユニットおよびgreen fluorescent protein(GFP)を同時に発現させる組換えシンドビスウィルス(SIN)、SIN-EG-NR2Bを作製した。SIN-EG-NR2Bにより導入されたNR2Bサブユニットの受容体形成能を確認するため、ラット小脳にSINをin vivo注入し、NR2群を欠き、NR1のみ豊富に発現する成熟プルキンエ細胞に感染させると、GEP蛍光を発するプルキンエ細胞からNMDA受容体発現を示す電流応答が得られた。また、プルキンエ細胞への主要な興奮性入力である登上線維シナプスおよび平行線維シナプスにおける興奮性シナプス後電流においてもNMDA受容体成分が観察された。このことから、成熟プルキンエ細胞に発現する内在性NR1は、外来性NR2Bと共に機能的NMDA受容体を形成し得る能力を備えていることが示された(Eur.J.Neurosci,2003,17,887)。 次に、NMDA受容体発現がシナプス下膜へのAMPA受容体発現・移行様式に与える影響を、NMDA受容体をシナプス下膜に豊富に発現させる連合線維(association fiber;AF)とMF間で比較した。SINにより未編集型GluR2をCA3鋒体細胞に発現させると、未編集型GluR2から成るAMPA受容体はAFおよびMF両シナプス下膜ともに神経活動非依存的に移行することが電気生理学的に示された。また、GluR1をSINによりCA3錐体細胞へ強制発現させると、GluR1から成るAMPA受容体は、AFシナプス下膜へNMDAA受容体およびCaMKII活動に依存して移行されたが、MFシナプス下膜へは神経活動依存的なGluR1受容体の移行は見られなかった。このことから、CA3錐体細胞シナプスヘのAMPA受容体の移行様式には、入力特異性およびサブユニット特異性があり、NMDA受容体のシナプス発現の有無が、特異性を規定している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)