2003 Fiscal Year Annual Research Report
高速および選択的イオン輸送が可能な高分子固体電解質の創製
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02J02389
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
徳田 浩之 横浜国立大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子固体電解質 / 磁場勾配NMR / イオン性液体 / ドナー性・アクセプター性 / クーロン相互作用 / イオン活量 / リチウムポリマー電池 / リチウムイオン伝導体 |
Research Abstract |
本研究では正電荷密度が極めて高いリチウムイオンを輸送ターゲットとし、リチウムイオンを単独カチオン成分として有するイオン性液体と高分子を組み合わせることにより、化学・電気エネルギー変換系構築の新しい指針を確立することを目的としている。本年度は以下に示す研究を展開した。 1 クーロン相互作用が強いリチウム塩をイオン化させるためには、極めて弱い対アニオンを用いる必要がある。前年度に見出した超弱アニオンのリチウム塩は、一般のリチウム塩と比較して極めて低い融点を有し、低極性溶媒中で高い解離度を与える。このリチウム塩を溶解させたポリエーテル系固体電解質は、高濃度で高いイオン伝導性と低い電荷移動抵抗を実現した。これは高分子固体電解質を電気化学デバイスへ適用するための最大の難関である、系全体の抵抗低減の新しいコンセプトと位置付けられる。 2 前年度に引き続き、様々なリチウムイオン性液体の合成を行った。この方法論としては、1で述べたような超弱アニオン構造中にリチウムイオン配位サイトを導入して自己解離を実現するものである。得られたリチウム塩は室温で液体であり、リチウム塩単独でありながら高いイオン解離度を有することを明らかにした。さらにこのリチウムイオン性液体をエーテル系マクロモノマー中に溶解、その場重合することで、固体薄膜化に成功した。 3 高いイオン伝導特性を示す高分子固体電解質を得るためには塩自身の機能化が不可欠であるが、塩の性質をあらわす尺度が存在しないために難しい。そこで、電気化学系のみならず新しい溶媒として世界的に注目されているイオン性液体のうち、特に多く報告されているものについて物性を精査した。イオン拡散係数等の重要な基礎物性を提出するのみならず、イオン性液体の性質(極性)をあらわす尺度として「イオン性」を提案した。この研究は国際会議で講演賞を受賞するなど世界的に高い評価を受けた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Tokuda: "Characterization and Ionic Transport Properties of Nano-composite Electrolytes Containing a Lithium Salt of a Superweak Aluminate Anion"Electrochimica Acta. 48. 2085-2091 (2003)
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[Publications] H.Shobukawa: "Preparation and Transport Properties of New Lithium Ionic Liquids"Electrochimica Acta. (in press).
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[Publications] 徳田 浩之: "ポリマーバッテリーの最新技術II"シーエムシー. 19 (2003)
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[Publications] 渡邉 正義: "ナノ・IT時代の分子機能設計と素子開発"エヌ・ティー・エス. 15 (2004)