2004 Fiscal Year Annual Research Report
トカマクプラズマ周辺部に現れる統計的磁場構造領域における熱・粒子輸送過程の解明
Project/Area Number |
02J02408
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
小林 政弘 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手
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Keywords | ヘリカル装置 / 周辺プラズマ輸送 / 3次元モデリング / モンテカルロ法 / 国際研究者交流 / マックスプランク研究所(ドイツ) |
Research Abstract |
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置LHDの周辺プラズマの輸送物理を解明するため、3次元プラズマ・中性粒子輸送コードEMC3-EIRENEをLHDのLocal Island Divertor (LID)配位に適用し、解析をおこなった。EMC3-EIRENEはBraginskiiの定常流体方程式をグリーン関数モンテカルロ法によって3次元空間で解くことにより、これまで困難とされてきたエルゴディック中でのプラズマの輸送解析を可能にしている。またプログラムは中性粒子コード、EIRENE、との結合によりダイバータ板上での中性粒子のリサイクリングも計算に取り入れることができる。LHDのように3次元的に複雑な磁場構造を有する装置ではこのようなコードによる解析は不可欠である。今回、実験データとの比較・検討をおこないながら解析を進めた結果、以下のことが明らかになった。 LID配位は周辺部のm/n=1/1の比較的大きな磁気島をダイバータのSOL(scrape off layer)として用いるが、ダイバータヘッドとSOL中のプラズマ流の出発点(上流)が極めて近い距離にあるという幾何学的特徴を持っている(〜10cm)。このためダイバータヘッド前面でリサイクリングした中性粒子が直接上流のプラズマ粒子ソース(源)となり得る。これが結果としてプラズマ流の効果的な加速を引き起こすことが明らかになった。場合によってはダイバータに到達する前に音速に達することもある。また、あわせて1次元モデリングも行い、この加速がLID配位に特有の長い磁力線接続長にも起因していることがわかった。実験的には直接プラズマ流速の測定はおこなっていないが、上流と下流の圧力比がほぼ2程度となっており、これは磁力線方向の運動量保存の観点から、プラズマ流が音速程度まで加速されていることを示唆している。このような現象は他のダイバータ装置では観測されておらず、LID配位特有の物理であり、そのダイバータ機能を議論するうえで重要な知見を得たといえる。
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Research Products
(2 results)