2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02441
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
福岡 弘紀 国立科学博物館, 動物研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 甲殻類 / 十脚類 / サクラエビ類 / イソサクラエビ / 系統分類 |
Research Abstract |
イソサクラエビ類の本邦の地理分布の解明のため沖縄諸島屋我地島と宮古諸島宮古島で採集調査を実施した。これまでの結果とあわせると、イソサクラエビ属3種のうち、S.inermisとS.maldivensisが琉球諸島と奄美諸島に分布するが、S.antennataの分布は琉球諸島南西部の八重山諸島と宮古諸島に限られた。海洋島である小笠原諸島ではいずれの種も出現せず、分布しないと考えられる。 イソサクラエビ属3種について光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡を用いた観察から胃の内部構造を明らかにした。また比較のためにこれまで報告のないサクラエビ属1種(Sergia lucens)とアキアミ属1種(Acetes intermedius)についても同様に明らかにした。その結果、胃内の構造はイソサクラエビ属の種間では違いが認められず、Sergia lucensとAcetes intermediusの基本的な構造もこれまで報告された同属の種とほぼ同様であった。サクラエビ科内の6属のうち本研究を含めて知見が得られている4属(アキアミ属、サクラエビ属、カスミエビ属、イソサクラエビ属)について比較すると、胃咀嚼器の構造が属間で明確に異なることが明らかとなった。その形態の類似性は外部形態を基にした類似関係と一致した。またイソサクラエビ類の食性についての知見はこれまでないが、本研究で胃内容物として小型甲殻類が見出された。 幼生形態の解明のため、S.inermisを簡易飼育して得られた卵の発生について観察を行った。卵は孵化後、ノープリウス幼生とその後のプロトゾエア幼生まで発育させることが出来た。系統類縁関係の解析に最も有用であるプロトゾエア幼生の外部形態の観察から、幼生形態が明らかにされていないPetalidium属を除くサクラエビ科の5属を比較すると、イソサクラエビ属はアキアミ属・Peisos属グループよりサクラエビ属・カスミエビ属グループに類似していることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)