2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02441
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
福岡 弘紀 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 甲殻類 / 十脚類 / サクラエビ類 / イソサクラエビ / 系統分類 |
Research Abstract |
イソサクラエビ類(Sicyonella)の採集調査を小笠原諸島父島、鹿児島県奄美大島、沖縄県慶良間諸島阿嘉島で実施した。奄美大島ではS.inermisとS.maldivensisが初めて採集された。父島ではイソサクラエビ類は採集されず、生息していない可能性が高い。昨年の調査結果と合わせると、日本では、イソサクラエビ属3種のうち、S.antennataが八重山諸島、S.inermisとS.maldivensisが八重山諸島から奄美諸島まで生息している事が明らかとなった。 種の特徴を明確にして再記載を行う事を目的に、各部を解剖して光学顕微鏡下で詳細に観察した。一部の形質については微細な構造を調べるために電子顕微鏡を用いた観察を行った。その結果、これまで種の特徴とされていた形質以外に、新たに第1触角柄部、腹肢、雌の生殖器の特徴が種間で明確に異なることが明らかとなった。雌では種の識別は困難とされていたが、第2触角鞭状部の色素パターンとともに、上記の特徴から3種が容易に識別出来る事が明らかとなった。これらの特徴を基に、海外の博物館に保管されている標本を調査した結果、S.maldivensisのシンタイプの1個体はS.inermisの誤りであり、残りの1個体を基にレクトタイプを指定する必要が認められた。フィリピンで採集されS.maldivensisと同定されていた標本中には、S.antennataとS.inermisが含まれている事が明らかとなり、これはフィリピンからの初記録となる。 採集した生体を水槽内で飼育して潜砂行動を観察した結果、潜砂時に第2触角の鞭状部を腹肢に巻き付ける行動が観察された。本研究で腹肢に備わる棘状毛の数や長さが種により異なる事が明らかとなったが、これらはこのような鞭状部の巻き付け行動と関係がある可能性が考えられる。
|