2002 Fiscal Year Annual Research Report
クエン酸代謝系遺伝子の多重組換えによる酸性土壌耐性植物の作出
Project/Area Number |
02J02521
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
木原 智仁 岐阜大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クエン酸放出能力 / クエン酸代謝 / 多重組換え |
Research Abstract |
クエン酸放出能力強化による酸性土壌耐性植物の分子育種を目的とした研究の過程で、以下3点の成果を得た。 1.クエン酸放出能力の極めて高いニンジン変異細胞において、まだ調べられていないクエン酸合成への基質供給過程について酵素活性レベルで解析した。その結果、解糖系の酵素の活性レベルには野生型細胞と変異細胞の間で差は認められなかった。しかし、ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC)の活性が変異細胞において高い値を示した。この高いPDC性はクエン酸合成力の向上に貢献すると予想される。しかし、これらの結果は予備的実験で得られたものであり、現在詳細な解析を行っている。 2.リン酸欠乏条件下で旺盛なクエン酸放出を示すルーピンのプロテオイド根の代謝特性を明らかにするために、クエン酸代謝に関与する6つの酵素の活性を測定し、リン酸添加区(+P区)およびリン酸無添加区(-P区)の根端と比較した。その結果、クエン酸合成への基質供給に関与するホスホエノールピルビン酸ホスファターゼとホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性がプロテオイド根において有意に増加していた。さらに、クエン酸分解に関わるNADP特異的イソクエン酸脱水素酵素(NADP-ICDH)の活性がプロテオイド根において他よりも低かった。NADP-ICDH活性の低下はニンジン変異細胞においても観察されることから、NADP-ICDHはクエン酸蓄積における鍵酵素であると考えられる。 3.クエン酸放出能力強化に貢献すると考えられる2つの酵素、クエン酸合成酵素(CS)とNADP-ICDHの遺伝子をイネに導入するためのベクターを作成した。植物発現ベクターであるpIG121-HmのGUSカセット領域にニンジンCSカセットとイネNADP-ICDH RNAi(発現抑制手法)カセットを組み込んだ。現在、イネへの組換えを実施している。
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