2003 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞の遊走動態とその分子制御機構に関する研究
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02J02559
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
黒羽 淳子 (沢田 淳子) 岐阜大学, 大学院・連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マスト細胞 / IgE / SCF / 細胞遊走 |
Research Abstract |
急性・慢性アレルギー反応時にマスト細胞が抗原暴露部位に集積する現象とその制御機構をin vitroで証明することを目的として、ハプテンであるDNP (dinitrophenyl)を特異的に認識するIgEを結合したマウス骨髄由来培養マスト細胞がその特異的抗原DNP-BSAにchemotaxis(方向性のある運動)を示すことを、Transwell^<【○!R】>を使用したchemotaxis assayで明らかにした。さらに、このシステムを用いて炎症性部位で多量に産生されるサイトカインであるStem Cell Facto(SCF)がこのIgEを介した抗原への細胞の遊走をほぼ完全に抑制することを明らかにした。さらにこの走化性抑制効果をCCDカメラにてリアルタイムで記録することに成功した。SCFのレセプターを機能的に欠損するマウス由来の培養マスト細胞で実験を行ったところ、抑制効果が発揮されなかったことからSCFの抑制効果はレセプターであるc-kitを介して発現することが明らかになった。また、Flow Cytometric AnalysisではSCFはマスト細胞のIgEレセプターの発現量の変化を誘導しなかったことから、抑制効果がレセプター発現量に依存しないことが示唆された。一方、IgEと抗原による脱顆粒においてはSCFは促進効果を持つことを、カルシウムの細胞内への流入測定とβ-hexosaminidase放出量を測定することにより確認した。このことからIgEを介して抗原暴露部位へ集積したマスト細胞は高濃度のSCFでさらされることにより、そのレセプターとシグナルを介した刺激により細胞の遊走が抑制され、炎症部位にマスト細胞が留まり、脱顆粒の反応は促進し、炎症部位で効果的に機能を発揮できることが示唆された。
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