2002 Fiscal Year Annual Research Report
固体レーザー色素を用いたホログラフィックレーザーの開発
Project/Area Number |
02J02635
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡辺 博文 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 位相共役波 / 色素レーザー / 固体レーザー / 飽和増幅効果 |
Research Abstract |
本研究は、従来の固体レーザーが未だ成し遂げられないでいる、安定な中心周波数と高い出力効率、優れたビーム品質を併せ持つ次世代の高機能固体レーザーシステム、固体レーザー色素を用いたホログラフィックレーザーの開発である。固体材料に色素をドープした新しいレーザー媒質である固体レーザー色素を用いることにより、従来の波長変換技術に頼る事なく、可視域波長で極めて安定な小型波長可変レーザーが実現できる。本研究では、以上の特長を併せ持つレーザーシステムの構築、最適化を目的としている。 本年度(平成14年度)は、固体レーザー色素ホログラフィックレーザーの実現に向け不可欠なデバイスとなる、固体レーザー色素自己励起型位相共役鏡の開発を行った。固体レーザー色素の飽和増幅効果を用いた、可視域、全固体自己励起型位相共役鏡の実現は世界で初めてとなる。信号光0.2μJに対する位相共役波のエネルギー反射率は最大2,100%を記録、十分な位相補正能力も確認した。 飽和増幅効果を用いた自己励起型位相共役鏡は、これまでに近赤外域波長で動作するものしか報告されていなく、可視域、紫外域波長では報告例はない。これはレーザー媒質がもつ自然放出寿命の永さに原因があり、一般に数ナノ秒の自然放出寿命をもつ可視域、紫外域のレーザー媒質では、システムの構成上、また、準過渡的な物理現象を用いるため、実現は非常に困難とされてきた。本研究では、十分なレーザー利得が得られるようにダブルパス配置を採用し、且つ数センチ四方に納まるコンパクトなシステムを構成した。また、位相共役波のパルス波形の測定から、共振器長に依存するモードビーティングを観測し、位相共役鏡自身がレーザー発振していることを確かめた。さらに反射率特性に対して理論的解析を行い、定性的に良い一致を示した。 本研究の成果は、可視域全域、さらに紫外域波長への拡大を約束するものであり、将来レーザーシステムのブレイクスルーを導く成果であると考えられる。また、この自己励起型位相共役鏡は、現状においてもMOPAシステムや波面制御デバイスなどへ幅広く応用できる。本研究の成果は、2003年6月23-27日、ドイツ、ミュンヘンにて開かれるCLEO/Europe2003での口頭発表(発表日27日)が決定している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hirofumi Watanabe, Takashige Omatsu, Mitsuhiro Tateda: "Efficient self-pumped phase conjugation with a loop geometry in a Rhodamine-6G solid dye saturable amplifier"Optics Express. 11・2. 176-180 (2003)