2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規ポリコーム群タンパク質Scmh1,及びポリコーム群タンパク質複合体の機能解析
Project/Area Number |
02J02661
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高田 幸 千葉大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 哺乳類ポリコーム遺伝子 / マウス / Scmh1 / 精子形成 / 胎児性繊維芽細胞 / p19^<ARF> / p16 / genomic instability |
Research Abstract |
本研究は、哺乳類ポリコーム群として新たに単離した遺伝子Scmh1の機能解析を中心に、ポリコーム群タンパク質複合体の機能制御メカニズムを明らかにしていくことを目的としている。 本研究でMouse polyhommeotic 2(Mph2)結合タンパク質としてクローニングしたSex comb on midleg homolog 1(Scmh1)は、一次構造の比較からショウジョウバエポリコーム群の一つであるSex comb on midleg(SCM)のマウスホモログと考えられた。、ノザンブロット解析の結果、Scmh1 mRNAは特に精巣において非常に高い発現を示すことが明らかとなった。Scmh1遺伝子欠損マウスを作製したところ、従来のポリコーム遺伝子欠損マウスで見られる中軸骨格系における異常は、頻度は非常に低いが観察された。また、ポリコーム遺伝子欠損マウスでは初めて精子形成過程減数分裂中期での分化停止が観察され、精母細胞のアポトーシスの亢進が見られた。さらに、ホモ接合体の胎児性繊維芽細胞では、増殖能低下が見られ、また継代が進むとtumor supressorであるp19^<ARF>及びp16mRNAの発現が急激に増加し、genomic instabilityが起こっていることが明らかとなった。 以上の結果より、ポリコーム遺伝子Scmh1は中軸骨格系だけでなく、精子形成過程、及び細胞増殖に重要な役割を果たしていると考えられる。Scmh1遺伝子欠損マウスをはじめ、他のポリコーム遺伝子欠損マウスやトランスジェニックマウスのさらなる網羅的解析を行うことは、ポリコーム群の生体内での様々な現象への影響や相関関係の総合的な理解を可能にすると考えている。今後は、さらにin vitroの系も加えて、p53やアポトーシス、クロマチンリモデリングなどにも焦点を当てて解析を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamaki, M: "The mouse Edr2 (Mph2) gene has two forms of mRNA encoding 90-and 36-kDa polypeptides"Gene. 288. 103-110 (2002)
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[Publications] Suzuki, M: "Involvement of the Polycomb-group gene Ring1B in the specification of the anterior-posterior axis in mice"Development. 129. 4171-4183 (2002)