2002 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームリサイクリング因子は翻訳のクオリティーコントロール因子として機能するか
Project/Area Number |
02J02681
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣川 剛 千葉大学, 大学院・医学薬学府, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | リボソーム / 蛋白質生合成 / クオリティーコントロール |
Research Abstract |
蛋白質生合成は、非常に精度の高い反応であり、その終結過程後に残るリボソーム複合体は、リボソームリサイクリング因子(RRF)と伸長因子Gにより分解され、次の翻訳過程へと繰り返し利用されている。一方でRRFは、リボソームによる誤翻訳の防止にも機能しているとの報告がある。本研究では、そのRRFによる翻訳の精度管理という議題に着目して検討を行っている。 検討に際して、大腸菌温度感受性RRF遺伝子変異株を材料として用いている。本年度は、材料である温度感受性RRF遺伝子変異株内で、RRFを不活性化した際に順次起こる諸現象について調べ、以下の事を明らかにした。培養温度をRRFが完全に不活性化される温度まで上昇させると、直ちにRRFの分解が起こり、リボソームが終結コドンから遊離されずにその下流を読み進む。その後、リボソームはmRNA3'末端に到達していたが(すべてのリボソームとは限らない)、そこでの蓄積は起こっておらず、むしろ70Sリボソームが細胞内に蓄積していた。ここまでの現象は温度上昇後十数分以内に起こっていた。さらに、蓄積したリボソームは(通常の)翻訳反応に対しては不活性であった。これは細胞全体の蛋白質生合成が短時間で停止していたことと完全に一致した。また、その後、転写の停止が起き、最後にDNA複製の停止が起きていた。上記の諸現象を明らかにした後、大腸菌温度感受性RRF遺伝子変異株を用いて、翻訳のエラーに対するRRFの影響をin vivoで検討できる系の構築を行った。また、その変異株抽出液と合成mRNAを用い、翻訳のエラーに対するRRFの影響をin vitroで検討できる系を確立した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Hirokawa, G: "Binding of ribosome recycling factor to ribosomes, comparison with tRNA"The Journal of Biological Chemistry. 277・39. 35847-35852 (2002)
-
[Publications] Hirokawa, G: "Post-termination complex disassembly by ribosome recycling factor, a functional tRNA mimic"The EMBO Journal. 21・9. 2272-2281 (2002)