2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02690
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 紗織 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平等論 / 手話情報 / リズム / 視知覚 / 手話者のニーズ |
Research Abstract |
障害に対する諸政策の背景にあるさまざまな平等論について、応用倫理学的見地から、"What is in QOL?"というテーマで2002年10月23日「アジア太平洋障害者の10年最終記念大阪国際フォーラム」で発表を行った。このなかで、(1)効用の平等、(2)資源の平等、(3)自由の平等の内実と課題について取り上げた。その後、手話におけるリズムという現象を3つのパースベクティブにおいて検討した。その3つのパースベクティブとは、(1)視知覚、(2)運動学、(3)意味へのアクセスであり、最初の(1)において検討するために、手話者の手に磁気センサーをつけて、位置情報を観測するデータを取得する実験を行った。そのデータを速度変化の周期性をしらべる解析(FFT解析)にかけ、ネイティブの手話者と、非ネイティブの手話者において速度変化の周期性を比較検討した。その結果、視覚における速度変化に敏感な周波数が、ネイティブの手話者のデータにおいて多く見られることがわかった。この結果は手話の明瞭度にかかわる重要な知見につながる可能性があり、今後さらに詳しい解析を行う予定である。これらの結果と、リズムについての視点の整理を2003年9月にスイスで開催予定のEurospeech国際学会にフルペーパを投稿している。これらのデータをさらに詳細に検討することで、手話情報の適正さについて実証的検討が可能になると考えている。また、倫理学的知見を合わせて、手話者のニーズについての全体論的な検討を行うことが今後の課題である。
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