2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02780
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Research Institution | The Tokugawa Reimeikai Foundation |
Principal Investigator |
白根 孝胤 財団法人徳川黎明会, 徳川林政史研究所, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 近世大名 / 藩政史 / 徳川一門 / 付家老 / 大名家臣 / 家格 |
Research Abstract |
本研究の課題は、近世日本における大名権力の形成過程研究の分析対象として、これまで十分に検討されてこなかった徳川一門大名に着目し、とくに、近世大名権力を支える指導者集団=重臣層(家老・年寄・一門衆)の権能及び政治的位置の質的変化に注視しながら、幕藩関係研究と藩政史研究との融合を図り、近世大名権力の構造的特質を明らかにしていくことである。 そこで、本年度は、尾張家を中心としながら、紀伊・水戸両家や越前・越後両松平家、駿河徳川家など、徳川一門大名家における権力構造の比較検討をおこなった。具体的には、徳川一門の大名化過程や幕藩関係の確立・維持に重要な役割を果たしていた付家老・年寄衆の官位叙任(従五位下諸大夫)の実相を検討することを通じて、大名家臣(「諸大夫」年寄)の家格の形成過程と大名権力・藩体制の確立・安定化との連関性を明らかにした。このことは、「公辺御家御日記」・「御記録」といった日記・編年記録や、家老「石河家文書」・家老「渡辺半蔵家文書」(以上、徳川林政史研究所所蔵)、「松岡藩政文書」・「中山家文書」・「中山家中国分家文書」(「磔川役用日記」)(以上、茨城県歴史館所蔵)、「松平文庫史料」(福井県立図書館所蔵)などの家老・年寄衆及び大名家臣の留帳・書状類の調査・収集と分析に基づくものであり、その他、名古屋市鶴舞中央図書館・東京大学史料編纂所・国立公文書館内閣文庫等においても、残存する口宣案・位記や「武家補任」などの大名家臣の官位叙任関連史料を調査・収集し、実証分析をおこなった。 これらの研究成果は、九州史学会近世史部会(九州大学)において、「徳川一門大名の形成過程と尾張藩体制」と題して学会報告をおこなうとともに、別紙に記したとおり、「近世大名家臣の官位叙任と幕藩権力-尾張家を中心に-」と題して学会誌において発表した。
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Research Products
(2 results)