2004 Fiscal Year Annual Research Report
逆伝播性活動電位の振幅変動によるシナプス可塑性の調節について
Project/Area Number |
02J02803
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
礒村 宜和 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 日本学術振興会特別研究員
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Keywords | シナプス / ニューロン / 海馬 / 神経筋生理学 / 神経科学 |
Research Abstract |
海馬や大脳新皮質の錐体細胞の樹状突起は興奮性・抑制性シナプス入力が統合される重要な部位である。我々は本研究において、錐体細胞の樹状突起におけるシナプス統合や可塑性の仕組みを、樹状突起遠位-近位軸に沿って詳細に解明することを試みてきた。特に、強いシナプス刺激により誘発される海馬錐体細胞の同期的振動現象(後発射)について、錐体細胞のどの局所部位がこのような興奮性GABA伝達を担っているのかに焦点を当てた研究をおこなった。昨年度までに、後発射現象は興奮性GABA作動性入力によって駆動されることを見出し(Tsukamoto et al.2003)、クロライド・イメージング法をもちいてGABA受容体の逆転電位を決定する塩化物イオンが後発射誘発中に錐体細胞の細胞体内に蓄積すること(Isomura et al.2003c)、海馬の同一領域内における後発射の発生にはGABA伝達が関与する一方、隣接領域への後発射の伝播にはグルタミン酸伝達が関与していることを示した(Isomura et al.2003b)。本年度は、錐体細胞と介在細胞の後発射の同時記録を樹状突起遠位-近位軸に沿って解析したところ、両細胞群が基底樹状突起領域内に特異的に形成する正の帰還回路が後発射の同期現象の本質的なメカニズムであることを示唆する結果を報告した(Tsukamoto et al.2004)。このように、海馬錐体細胞における同期的振動現象の発生には細胞体や基底樹状突起への興奮性GABA入力が重要な役割を果たしていることを宗す知見を得ることができた。現在、海馬の同期的振動現象の仕組みをさらに動物個体レベルで調べるために、米国ラトガーズ大学のG.ブザキ研究室において細胞内記録法と細胞外多点記録法を併用した電気生理学的研究を進めている。
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Research Products
(3 results)