2003 Fiscal Year Annual Research Report
中期始新世から前期漸新世にかけての深層水循環変動の解明
Project/Area Number |
02J02852
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大串 健一 茨城大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古海洋 / 深層水循環 / 底生有孔虫 |
Research Abstract |
サンタバーバラ海盆の位置する南カリフォルニア縁辺海の中層水は数百年〜数千年周期の気候変動の影響を受けて急激な溶存酸素量の変化を繰り返してきた.この変動はサンタバーバラ海盆の堆積物に狭在するラミナ層や底生有孔虫の群集変化によって克明に記録きれている.サンタバーバラ海盆の海底面は中層水循環や生物生産変動に応答して寒冷期には酸素に富んだ状態となり,温暖期には酸素に乏しい状態となる.Cannariatoらによってなされた先の研究では海盆底から得られたODP堆積物試料の解析に基づき,底生有孔虫群集が溶存酸素量の変動に敏感に応答し劇的に入れ替わることが明らかにされた.本研究では,サンタバーバラ海盆から採取された2本のIMAGESコア(海盆底付近である569m;シル深度付近である440m)の底生有孔虫群集の解析を行うことにより,溶存酸素量変動の水深変化を捉えることを目的とした.解析の結果,氷期最寒期やヤンガードリアス寒冷期は水塊がよく混合し酸素に富んでいる状態であることが明らかとなった.溶存酸素極小層の著しい発達の証拠は見られなかった.上下両サイトの群集組成の変化は似ておりきれいに対比可能である.対照的に(ベーリングアレレード期や完新世のような温暖期の群集は水塊が鉛直方向に成層化したことを示している.海盆底はシル深度よりも酸素に欠乏しており,シル深度の群集変化は溶存酸素極小層の変動をより明確に示していた.底生有孔虫種Bolivina tumidaは先の研究により高い溶存メタン濃度もしくは溶存酸素濃度の著しい低下の指標種であると推定された。もしそれが正しいのであれば、この種の産出頻度変化は前期完新世やベーリングアレレード期におけるメタン放出を記録していると考えられる.この種の産出パターンの変化により前期完新世は後期完新世よりも酸素量が減少していたと推定される.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Ohkushi, A.Suzuki, H.Kawahata, L.P.Gupta: "Glacial-interglacial deep-water changes in the NW Pacific inferreed from single foraminiferal δ^<18O> and δ^<13>C"Marine Micropaleontology. 48. 281-290 (2003)
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[Publications] K.Ohkushi, T.Itaki, N.Nemoto: "Last Glacial-Holocene change in intermediate-water ventilation in the Northwestern Pacific"Quaternary Science Reviews. 22. 1477-1484 (2003)
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[Publications] N.Ahagon, K.Ohkushi, M.Uchida, T.Mishima: "Mid-depth circulation in the northwest Pacific during the last deglaciation Evidence from foraminiferal radiocarbon ages"Geophysical Research Letters. 30・21. 2097 (2003)