2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属を含むラジカルの高分解能分光〜水酸化物の構造と反応ダイナミクス
Project/Area Number |
02J02853
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
平尾 強司 茨城大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 不安定分子 / 回転スペクトル / イオン / シュタルク効果 / 電子遷移 / 金属 |
Research Abstract |
平成15年11月から16年1月までカナダ・オンタリオ州ウォータールー大学(P.バナース研究室)に滞在した際、金属化合物のフーリエ変換分光を行い、MgOHの回転構造まで分離したA^2Π-X^2Σ^+電子遷移の発光スペクトルを検出した。この分子は,Mgの蒸気、水とArの混合ガス中で直流グロー放電して得た。この生成条件下では、他にMgH A^2Π-X^2Σ^+電子遷移(Δv=0)が検出されたのみである。また、アルカリ土類金属と化学的性質が類似する3d遷移金属、Znの水酸化物の検出をMgの場合と同様の手法で試みたが、検出されなかった。しかし、ZnHの、A^2Π-X^2Σ^+、B^2Σ^+-X^2Σ^+電子遷移が従来観測されていた以上の強度で検出された。Znは、Mgと異なり3d軌道に電子が充填しているため、それによる影響が酸素との反応性に現れていると考えられる。ZnHの電子遷移は、A状態とB状態の間で強い摂動がある上、基底状態も高い回転準位で前期乖離を起こすため、基底状態のcombination differenceにより基底状態の分子定数とRKRポテンシャルを決定した。また分子定数の質量依存性についても論じた。A/B状態間の摂動については現在解析中である。 茨城大で分子ビーム法を用いたサブミリ波分光器に、Stark効果の測定用電極を組み合わせたものを製作している。サブミリ波光源には逆進行波管(BWO)を使用し、この出力を周波数変調して分子を検出する。この分光器は分子ビームを使用するために分子の回転温度が下げられるので(10K程度)、ファンデルワールス錯体などの生成が可能になることと、吸収線の線幅が抑えられ、周波数分解能が向上する利点がある。軽い分子のStark効果の観測例は限られており、星間分子の観測や大気観測への応用が期待される。
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Research Products
(1 results)