2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02893
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
比嘉 幹彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性転換 / アロマターゼ / 11β-水酸化酵素 / DMRT1 / 性ステロイド |
Research Abstract |
申請者は先に申請した研究計画書に基づいて実験を行い、以下の研究結果を得た。 1)脳で働く性ステロイド合成酵素遺伝子群のクローニングとその発現解析 性転換はまず脳から始まるため脳内のステロイド合成が関与している可能性が高い.ベラの女性ホルモン合成酵素アロマターゼと男性ホルモン合成酵素11β-水酸化酵素の遺伝子発現を調べた。アロマターゼは二種類あり、脳と生殖腺での使い分けが示唆された。11β-水酸化酵素の遺伝子発現は脳で低く、精巣で高いことから、精巣で作られた男性ホルモンが脳に働いていると考えられた。男性ホルモンの受容体遺伝子の発現部位を脳内で調べた結果、二種類の受容体の発現は様々な神経ホルモン産性細胞の近傍で見られた.以上の結果から、性転換魚脳内における性ステロイドの重要性を示すことができた。本研究の結果は米国神経科学会14年度年会にて発表した。 2)Doublesex/Mab-3 (DM)ドメイン遺伝子群のクローニングと生殖腺における発現解析 メスからオスへ性転換途中のベラでは血中の女性ホルモンがまず減少し、その後男性ホルモンが増加する。これは生殖腺におけるアロマターゼおよび11β-水酸化酵素のリアルタイムPCR法を用いた遺伝子発現解析で分子レベルで起こっていることが分かった。さらに性ステロイド合成系のスィッチングのタイミングおよび分子メカニズムを知るために,性決定因子Doublesex/Mab-3 (DM)ドメイン遺伝子の発現解析を行った.DM遺伝子の発現は卵巣では殆ど見られず、精巣が発達してくる過程で上昇した。以上のように性転換の分子メカニズムの解明が進んだ。この結果は日本動物学会14年度年会にて発表した。 3)性ステロイドおよびそのアンタゴニスト投与による遺伝子発現変化の解析 各種ステロイドおよびステロイド阻害剤を用いて実験を進行中である。
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