2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J02893
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
比嘉 幹彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 性転換 / 性ステロイド / アロマターゼ |
Research Abstract |
申請者は先に申請した研究計画書に基づいて実験を行い、以下の研究結果を得た。 1)脳で働く性ステロイド合成酵素遺伝子群のクローニングとその発現解析 前年度からの研究においてこの項目の目的はほぼ達成された。すなわち、女性ホルモン合成酵素アロマターゼ、男性ホルモン合成酵素11β-水酸化酵素、男性ホルモン受容体、それぞれの遺伝子発現解析により、ベラの性転換における性ステロイドの重要性を示すことができた。 2)Doublesex/Mab-3(DM)ドメイン遺伝子群のクローニングと生殖腺における発現解析 この項目についても前年度からの研究によってほぼ達成された。性決定因子DMドメイン遺伝子の発現は卵巣では殆ど見られず、精巣が発達してくる過程で上昇していた。またその発現部位が卵巣から精巣への変化に密接に関わっていたことから、DMドメイン遺伝子は卵巣から精巣へ性転換する際に鍵的な役割を持つことが示唆された。 3)性ステロイドおよびそのアンタゴニスト投与による遺伝子発現変化の解析 上記2項目は各遺伝子の発現が性転換と共に変化することを観察した。しかしこれらの研究結果は間接的なものであるため、性ステロイドと性転換、遺伝子発現を調べるためにはさらに直接的な方法をとる必要がある。そこで沖縄産ベラ科魚類のミツボシキュウセンのメスに、エストラジオールの合成を抑える薬剤(アロマターゼ阻害剤)を投与したところ、全てのメスにおいて性転換が誘導された。この効果はエストラジオールで補償されるため、女性ホルモンの減少が性転換の引き金となっていることが明らかになった。また、沖縄産ハタ科魚類カンモンハタのメスにアロマターゼ阻害剤を与えると、同様に性転換が誘導された。このことから、異なる魚種でも基本的には共通した性転換機構を持っていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mikihiko Higa, Kei Ogasawara, Ayumi Sakaguchi, Yoshitaka Nagahama, Masaru Nakamura: "Role of steroid hormones in sex change of protogynous wrasse"Fish Physiology and Biochemistry. 発表予定.