2002 Fiscal Year Annual Research Report
グルタメイトシグナルによる神経幹細胞機能制御と再生医療応用
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02J02956
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北山 友也 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経幹細胞 / NMDA / 成熟動物 / 分化能 |
Research Abstract |
従来、神経幹細胞の研究は、胎児期由来神経幹細胞を用いて行なわれていた。しかしながら、より臨床に即した研究としては成熟動物由来の神経幹細胞を用いることが必要である。本研究では、BrdUのみを用いた実験で不確定な議論が成されていた成熟動物海馬内神経幹細胞の存在を増殖細胞のマーカー蛋白質である増殖細胞核抗原に対する抗体および、神経幹細泡のマーカー蛋白質として広く用いられているNestinに対する抗体を用いて立証した。この神経幹細包がグルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA受容体のアゴニストであるNMDA投与により、細胞死を起こすことなく細胞数が減少することを示した。また、このNMDA受容体の活性化を介して転写制御因子であるactivator protein-1(AP1)のDNA結合能が変動することを報告した。さらに、両者の応答性には、空間的、時間的相関性が認められることを見出した。 成熟動物海馬由来神経幹細胞をpercollを用いた密度勾配法により、分化細胞と未分化細胞の比重の差を利用した新しい単離培養法を開発、確立した。同方法により、海馬内に存在する細胞が、自己修復能と多分化能を有することを示した。これら培養神経幹細胞は、培養12日目に行ったNMDAの短期曝露実験では、形態的に著変は認められず、分化能に対しても影響は認められなかった。培養4日目から行ったNMDA長期曝露の結果、通常認められる細胞塊の形成が阻害されていた。さらに、これらの細抱をall-trans retinoic acid存在下で分化させることにより、対照群と比べて神経細胞に分化する細胞数が著明に増加した。MAP-2蛋白質について定量化を行ったところ対照群に比べて約6倍に増加していた。したがって、NMDAシグナルは、神経幹細胞の運命決定に作用し神経細胞系譜に誘導すると推察される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kitayama T, Yoneyama M, Yoneda Y.: "Possible regulation by N-methel-D-aspartate receptors of proliferative progenitor cells expressed in adult mouse hippocampal dentate gurus"Jamal of Neurochemistry. 84(4). 767-780 (2003)