2002 Fiscal Year Annual Research Report
金星大気を用いて減速する探査機周りの著しく非平衡な流れの数値解析手法に関する研究
Project/Area Number |
02J03006
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
古館 美智子 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 極超音速流 / 非平衡流 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
現在、世界的に金星探査への関心が高まっており、日本でも宇宙科学研究所を中心にして、金星大気を周回軌道から探査する計画や、金星大気に気球を投入して大気を調べる計画が進行中である。本研究は、金星大気突入時の機体周り流れ場に現れる熱化学非平衡状態を正確に模擬する数値解析手法の開発を行い、エアロキャプチャ技術の確立に貢献しようとするものである。 エアロキャプチャが行われる高高度域では大気の密度が低く、並進、振動、回転などの気体の内部エネルギーモード間の非平衡現象が顕著に現れる。したがって、大気への突入シミュレーションをする際には、このエネルギーモード間のエネルギー緩和を適切に記述しなければならない。本年度は、この問題を分子衝突の観点から解析する手法を検討した。金星の主な大気成分である二酸化炭素分子は3原子からなり、4つのモードを持つ。そのため、分子衝突解析はかなり煩雑なものとなることが予想される。そこでまず、やや簡単な問題として、2原子分子である水素分子のエネルギー緩和過程解析を行い、手法の有効性を検討した。 解析は次のような方法で行った。 1)準古典的軌道解析をおこなって各回転・振動準位間の遷移速度を求める。 2)1で求められた遷移速度を用いてマスタ方程式を解き、どのような過程を経てエネルギー緩和や解離が起こるかを調べる。 これより得られた回転緩和時間を過去の研究と比較をした。その結果はよく一致したとは言いがたいが、遷移速度の算出に大きく影響する要因がいくつかわかった。これらの知見は二酸化炭素分子について解析を行うときに大変参考になるものである。 解析は、コンピュータを用いて行った。また、その研究成果を、国内の学術会議で口頭発表した。
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