2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属アルコキシドからの超分子化学に基づく無機-有機ナノ複合組織体の創製
Project/Area Number |
02J03155
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下嶋 敦 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 無機有機ハイブリッド / クラスター / ゾルゲル法 |
Research Abstract |
これまで、アルコキシシランの自己組織化によるメソ構造体ハイブリッドの合成について研究を進めてきたが、今年度はカゴ型構造のナノハイブリッドクラスター合成の可能性を探った。 かご型構造のシロキサンオリゴマーはその特異な構造から基礎化学的に興味深く、まえ様々な応用があることから極めて有用である。すでに、ケイ酸水溶液中においては、第四級アンモニウムイオンの存在によりかご型構造が選択的に形成されることが知られている。そこで本研究では、有機基を骨格中に含む新規かご型構造の構築を目指し、架橋メチレン基を有するアルコキシシラン[(EtO)_3Si-CH_2Si(OEt)_<3'>1]を用い、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)共存下での加水分解・縮重合反応について検討した。 出発分子1を所定のモル比のEtOH-H_2O-TMAOH混合溶液中に添加後、室温で数日間撹拌した。さらに、得られた反応溶液中に含まれるオリゴマー種のトリメチルクロロシランによるシリル化を行った。TMAOH/Si比が1以上のとき、ゲル化は起こらず均一溶液が得られた。TMAOH/Si=3として得られた溶液の^<29>Si NMRスペクトルには、T^2環境(CSi(OSi)_2(O^-))のSiに帰属される2本のシグナル(強度比1:2)のみが出現した。また、^<13>C NMRスペクトルより、環境の異なる架橋メチレン基に由来する2本のシグナルが観測された。以上の結果から、1の加水分解・縮重合反応により特定構造の分子種が選択的に生成したことがわかった。さらに、トリメチルシリル化誘導体の詳細な分析により、3つのSi-CH_2-Siユニットがシロキサン結合によりかご型構造を形成していることが明らかとなった。また、シリル化在の選択により、様々な有機官能基をその頂点に結合させることが可能であり、各種ナノ構造材料の構造単位としての利用が期待できる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Shimojima et al.: "Direct Formation of Mesostructured Silica-Based Hybrids from Novel Siloxane Oligomers with Long Alkyl Chains"Angew.Chem.Int.Ed. 42. 4057-4060 (2003)
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[Publications] N.Umeda et al.: "Synthesis of Multilayered Silica-Based Hybrid Films from Difunctional Organosilanes by Co-Hydrolysis and Polycondensation with Tetraalkoxysilane"J.Organomet.Chem.. 686. 223-227 (2003)
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[Publications] Y.Fujimoto et al.: "Formation of Layered Silica-Alcohol Nanostructured Materials from Alkoxytrichlorosilanes"Chem.Mater.. 15. 4768-4774 (2003)