2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属アルコキシドからの超分子化学に基づく無機-有機ナノ複合組織体の創製
Project/Area Number |
02J03155
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下嶋 敦 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | シリカ系ハイブリッド / ゾルゲル法 / 自己組織化 / 多孔体 |
Research Abstract |
分子の自己組織化によるナノ構造体の構築は、基礎化学的に重要であるばかりでなく、新材料創製の期待から注目されている。我々はSi-C結合を有するオルガノアルコキシシランを出発分子として用い、分子間の弱い相互作用に基づく自己組織化によるシリカ系ナノハイブリッドの合成に注力してきた。本研究では、かご型8量体骨格に注目し、長鎖アルキル基を有するアルコキシ誘導体の自己組織化によるナノハイブリッド合成について検討した。出発分子の加水分解反応をTHF中、酸性条件で進行させ、所定時間反応後に得られた前駆体溶液をガラス基板上にキャスト・風乾することにより縮重合させ、厚膜状のゲルが得られた。これを粉砕して得られた粉末試料のXRDパターンには3.6nm程度のd値に対応する回折ピークと、その高角度側にブロードなピークが観測された。一方、固体^<29>Si MAS NMRスペクトルからは、Q^3,Q^4環境に帰属されるシグナルが観測されたことから、8量体ユニット間の縮重合反応によるシロキサン骨格の形成が確認された。また、焼成による有機成分の除去によってd値の減少が見られるものの、規則構造が保持されていたことから、3次元のシリカ骨格を有することが確認できた。焼成後の試料のTEM像からは縞状及びハニカム状の周期構造が観察され、その繰り返し周期はXRDにおけるd値とほぼ一致していた。さらに、焼成後の試料のN_2吸着測定より、生成物はマイクロ孔を有することが示された。以上の結果より、出発分子の加水分解・縮重合過程での自己組織化により、2Dヘキサゴナル類似のナノ構造を有する新規なシリカ系ハイブリッドが形成されたことがわかった。
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Research Products
(1 results)