2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属アルコキシドからの超分子化学に基づく無機-有機ナノ複合組織体の創製
Project/Area Number |
02J03155
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下嶋 敦 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 無機有機ハイブリッド / マイクロポーラスシリカ / ゾルゲル法 / 自己組織化 |
Research Abstract |
シリカ系材料のナノ構造制御は基礎、応用の両面で重要である。これまで我々は、オルガノアルコキシシランの加水分解過程における自己組織化により、層状構造のシリカ系ハイブリッドが得られることを報告してきた。本研究では、炭素数10および16のアルキルシランに3つの-OSi(OMe)_3基が結合した構造の新規シロキサンオリゴマー[C_nH_<2n+1>Si(OSi(OMe)_3)_3,n=10 or 16]の加水分解・縮重合反応をおこない、アルキル鎖長が生成物の構造に与える影響について検討した。 デシルトリクロロシラン、あるいはヘキサデシルトリエトキシシランの加水分解反応により得たシラントリオール(C_nH_<2n+1>Si(OH)_3,n=10 or 16)をテトラクロロシランと反応させた後、さらにメタノールと反応させることで出発分子を合成した。THF-H_2O-HCl溶液中で加水分解・縮重合反応を進行させた後、ガラス基板上にキャスト、風乾によりゲル化させた。得られた板状のゲルを粉砕し、粉末試料とした。 得られた試料のXRDパターンには、d=2.9(n=10),3.3nm(n=16)の回折ピークといくつかの高次回折ピークが出現した。TEM観察により、n=16の場合は層状構造、また、n=10の場合、若干の歪みを有する2D-ヘキサゴナル構造が形成されていることが確認された。アルキル鎖炭素数によるナノ構造の変化は出発物質の分子形状の違いに起因するものと考えられる。得られた試料を500℃で8時間焼成した結果、n=16の系では構造の崩壊が起こったが、n=10の場合、ナノ構造は保持された。焼成前のハイブリッドの^<29>Si MAS NMRスペクトルにはTおよびQユニットによるシグナルが観測されたが、焼成後の試料はQ^3、Q^4シグナルのみを示したことから、有機基の除去が確認された。また、窒素吸着測定により、n=10の系より得られた焼成物は高い比表面積を有するマイクロポーラスシリカであることがわかった。
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