2002 Fiscal Year Annual Research Report
陸上移動無線通信における電波伝搬モデルと情報伝送の高速化技術に関する研究
Project/Area Number |
02J03160
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前原 文明 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | TCP / レイリーフェージング / ダイバーシチ / 誤りパターン / OFDM / TDD / フェージング相関 / 伝搬路予測 |
Research Abstract |
1.物理層のパラメータ特有の伝送誤りパターンの作成 TCPスループット特性は,電波伝搬環境や通信方式からなる物理層のパラメータに大きく依存する.したがって,TCPスループット特性の評価ツールに対して物理層の誤りパターンを提供することは重要である.本年度は,電波伝搬環境として,レイリーフェージング,通信方式として,受信ダイバーシチ技術を採り上げ,誤りパターンの作成を行うとともに,スループット特性の評価を行った.特性評価の結果,ドップラー周波数が小さい,すなわちバースト性が強まるほどスループットが向上し,受信ダイバーシチの適用により,大幅にスループット特性が改善されることが明らかとなった. 2.送信ダイバーシチを適用したOFDM伝送方式の基礎的検討 送信ダイバーシチでは,下り信号の送信に先立って,下り回線における各ブランチの伝搬路状況の把握が必要となるが,上下回線を同一の周波数で運用するTDD (Time Division Duplex)方式を適用すると,上下回線の時間差に起因するフェージング相関の低下によって伝送特性が大きく劣化する.したがって,無線回線の設計の立場から,フェージング相関と特性劣化量の関係を理論解析によって定量的に把握することは極めて重要な課題である.以上の点を鑑み,本年度は,ブランチ合成法として最大比合成を適用した場合のビット誤り率の理論式を導出するとともに,その妥当性を明らかにした. また,フェージング相関による伝送特性の劣化の対策として,振幅と位相からなる上り回線の伝搬路状況を2次元線形予測することにより,位相を含めた下り回線の伝搬路の推定を行う方式の提案を行った.特性評価の結果,提案方式により,従来の振幅のみを用いた1次元線形予測を行う方式よりも優れた伝送品質が得られることを確認した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 前原 文明: "Linear Predictive Maximal Ratio Combining Transmitter Diversity for OFDM-TDMA/TDD Systems"IEICE Transactions on Communications. E86-B, no.1. 221-229 (2003)
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[Publications] 前原 文明: "OFDM伝送におけるSIR重み付け受信ダイバーシチ"電子情報通信学会 論文誌(B). J85-B, no.12. 2399-2403 (2002)
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[Publications] 吉田 晴人: "高速フェージング環境下におけるOFDM伝送を対象としたフェージング補償方式"電子情報通信学会 論文誌(B). J85-B, no.11. 1874-1883 (2002)
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[Publications] 高畑 文雄: "ディジタル無線通信入門"培風館. 211 (2002)